速報→「月の雫に濡れながらゆっくりと眠る方法」幻想劇場◎経帷子
2011.11.12 13:30 [CoRich]
「演劇実験室」から「幻想劇場」に劇団名を改名して新たなエンタテインメントを目指す劇団。2005年上演作の再構築版。45分。13日まで松本・本町ホール(時計博物館4F)
病院のベッドで眠り続ける男、妻や友人たちが見守るが一ヶ月もの間目を覚まさない。男は、縄手通りで女を待ち続けている。
白塗りだけれど掛け合いも楽しい客入れから。芝居が始まると一変。眠り続ける青年、今は10階建てのマンションになっている場所に映画館 や焼き芋屋があったこの町の20年前を織り込みながらの物語。当日パンフによれば2005年夏に縄手通り路上で上演されたとのことで、なるほど、縄手通りという場所を背景にしたものがたり。
幻想というよりは過労やいわゆるブラック会社で働く男の現代の内面の想い悩みを敷きながら、厳しい現実から逃げ出したい気持ちの向かう先としての幻の女。だから閉じこもってしまったのか、あるいはだから(目が覚めないながらも)生き続けていられるのかという不思議な感覚。
必ずしも芝居の経験がそろっているわけではない役者たちをうまく配置。ぼんやりした幻想の世界だけで押さず、少々無茶なコミカル、たとえば、わさびいなり寿司をむりやり頬張らせたり、ベータマックスやら昔懐かしいドーナツ盤など、笑いをちりばめていて、重くなりそうな物語を運びをあくまでもエンタテインメントに軽やかに作り出します。
それでも、物語の芯にあるのは、繊細な男の、精一杯の心の叫び。過去に拘泥する閉塞した気持ちと光明と希望を感じる終幕は王道です。当日パンフによれば寺山演劇を独自の解釈で上演、となっていて、云われてみれば白塗りだったりもするし、こういう繊細さは確かに寺山っぽいなと思います。それをあくまでも軽やかに、地元の物語として1時間弱としたのは演劇祭にはとてもマッチしていると思うのです。
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