速報→「ユーリンタウン-URINETOWN The Musical-」流山児★事務所
2011.10.30 13:00 [CoRich]
2009年、座・高円寺での初演、2002年にも日生劇場で宮本亜門版が上演されたようですが、そのオフ・ブロードウェイのミュージカル、再演。ちゃんとミュージカルのフォーマットだけれど、切ないというよりは絶望に近い幕切れの現実の苦さが深い160分(休憩10分込み)。30日まで座・高円寺1。
干ばつが日常になった街、節水のために有料トイレを全員に義務づける法律が施行されている。その法律を破れば「ユーリンタウン」に送られて戻ってこられない。トイレを管理しているのはUCCという企業だが、大昔の干ばつからその処理技術によって、昔ほどの水の切迫感はなくなっている。 それでも日々の営みに金がかかることに対して、貧民層を中心に不満は高まっている。その料金を倍額にするという法律が施行された日、やんごとなき「9番」の公衆便所から、反乱の狼煙が上がる。
よくわからずに観ることに決めたのだけれど、別所哲也に三ツ矢雄二など、いわゆる有名人もキャストに。個人的には清水宏は客入れから高いテンションが実に楽しいのです。基本的には搾取する側と搾取される側の二項対立、その革命は果たして成功したけれど、それがここの人々に幸せな結末を生んだかという意味では悲しい幕切れ。どうしても革命戦士側を賛美するものがたりになりがちなフォーマットだけれど、技術そのものの持つ力と、搾取している側に見えても、その技術を正しく使おうとしているという人間の真摯さをきちんと描くという一段深い奥行きを感じるのです。
でも、現在のアタシたちの現実にそれは重ね合わせていいものかどうか、そういう意味では不本意ながらもう一段の深み。現在の原発と電力会社という構図の中でも同じように正しかったと、信じたいのですが、アタシは。
直前に潜り込んだアタシが座ったのはサイド側の、正直に云えばあまりいい席ではないのだけれど、主役からダンサーまであらゆるキャストが時々気を遣って小芝居してくれたり、ちょっと違う表情を垣間見せてくれるのが、なんか嬉しい感じ。こういうファミリアな感じはとてもいいのです。
「ありがちなミュージカルのフォーマット」とぼやき漫才のように時折挟まれる突っ込みが楽しい。まあ、これもオフブロードウェイという感じなのでしょう。日本語訳は少々癖があったりして、それが原文に照らして雰囲気を伝えているものなのか、あるいは日本語訳が少々暴走した結果なのかはわかりません。
狂言回したる別所哲也、清水宏が軽快に楽しい。ヒロインを演じた関谷春子、管理人を演じた伊藤弘子がいっぱいの魅力で印象的。ダンサーたちにも何人か目にとまる役者が居るけれど、誰が誰か今ひとつわからないのが残念。
■おまけ。 千秋楽のみ、カーテンコールの撮影自由ということで。
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