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2011.10.11

速報→「ヨコハマアパートメント」studio salt

2011.10.10 14:00 [CoRich]

横浜の劇団、スタジオソルトの新作は 横浜の野毛にほど近い住宅街の中のほんとうに居住者の居るアパート、吹き抜ける風が気持ちいい空間の75分。週末三日間だけの公演を繰り返して、30日まで、ヨコハマアパートメント

吹き抜けのあるアパート、住民たちのパーティの準備をしている。出ていった人のパーティ。新しい住人も交えてカレーを作る。夫婦、独り者、近所の人、管理人。恋心だったり、子供のことだったり、馬鹿馬鹿しい競争だったりで盛り上がる。

住人同士の気安さというのとは違う感じの微妙な空気感。 「新人」の捉え難さはあるけれど、これがどういうコミュニティかということを観客のアタシの理解の大きな助け。前半は女性たちのものがたり。あたしが好きな「ピクニック」に似た雰囲気(そういえばソルトで久しぶりに調理の過程を全て見せたシーンだ)で、恩田和美と大倉みなみ演じる二人の女性の年齢や立場の違い、その無邪気さと酔いが発する言葉の切っ先を物語の軸に。いい歳だけれど独身のある種の閉塞する気持ち、カップルの二人にしても、やってることは閉塞だと思うけれど、そうやってでも彼らが生きていくことは責められないのだという優しい視点。

後半は少しばかり一転して、男たちの友達の物語。ちょっとカクスコっぽい感じもあったりして楽しい。あとから思えば前半にヒントはあるのだけれど、そこを詮索しない方が(まあ、アタシは気づかなかっただけなんだけど)素直に楽しめる気がします。

好きだったのは岩井晶子演じる独身の女性の「私を安く見てほしくない」というあたり。男の側視点だけれど、ああ、そうやって考えてしまう瞬間あるかなぁ。それに恋心を抱く男も含めて、これはコンプレックスの話でもあるのです。あるいは無邪気に男たちが競争を始めたりするのも、こういう空間ゆえに楽しい。

場所の持つ力があるすてきなところ。ただし住宅地でもあって制約は厳しいようで注意書きがけっこうあります。場所は非常にわかりにくいので、劇団に伝えてバス停まで迎えにきてもらうルートが推奨されています。わりと坂道のあるところなので、体力があれば散歩がてら歩くのもおすすめですが、わかりにくいのでGPS携帯でも、緻密に地図を持っていくなどの工夫を。席は椅子や階段を利用した三方囲み、あたしは入って左手、舞台としては正面になる(コの字の縦棒の辺)ベンチシートに座りましたが、座る場所でずいぶん見え方が異なる感じもあります。

多少のネタバレ

そういう意味では前半の女たちの話、後半の男たちの話を繋ぐ物語としての要素は薄い感がありますが、それはつまり、ソルトが舞台上での「食べる」シーンにこだわり続けている根っこにあること、つまり生きていくことだったり、そこから派生する産むことだったりをぎゅっと凝縮しているのだと思うのです。

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