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2011.10.14

速報→「インスパイア『箱娘』」ジェットラグ

2011.10.11 14:00

名作からインスパイアされた作品を上演する企画。二本を交互上演のうち、安部公房「箱男」を種とする根本宗子の「箱娘」、90分。13日まで銀座みゆき館劇場。

生まれてこのかたホテルを出たことのない二十歳になる女を主人公にした漫画「箱娘」が人気の漫画家だが二十話にして書けなくなっている。すぐに担当漫画家と恋仲になってしまう編集者の苦肉のアイディアでアシスタントたちはその登場人物になりきって先生に描かせようとしているが芳しくない。いよいよ描けなくなって追いつめられたところで、アシスタントの一人が描きためた原稿を使ってほしいという。それは、この家に迷い込んできた漫画オタクの女を主人公にした物語だった。

創れないクリエーターの物語と思いきやそれは助走に過ぎず、そこでのし上がったイケメンのクリエーターとそれにまとわりつく女たち、という方に物語の主軸。根本宗子の書いた芝居は初めて拝見しますが、一部で云われる本谷有希子っぽさは確かに満載(なんせユニット名が自身の名前なのも共通だ)です。

面倒くさい女を描くと云うよりは、「何かと寝る」女たちの面倒くささをいろんな登場人物で描くという感じ。 冴えない女の豹変、才能と寝てみたい女、才能に仕事として惚れ込んでしまう女など、さまざまをイヤな感じも含めてしっかりと。正直に言えば、まだ荒削りというよりは人数に対してそれぞれに突出したキャラクタを与えられていないという感はありますが、その萌芽はしっかりとあるのです。

描けないセンセイを演じた鈴木歩己の才能の夕暮れ感がしっかり。秋山莉奈演じる担当編集にモテすぎる(役な)のは癪に障るけれども(笑)。歌川椎子演じる家政婦との最後のシーンが実にちょっといい枯れ具合なのです。

メガネジャージな女を演じた内田亜希子は、未成熟を善とする(日本の)男の視点を体現しつつ、そこからもう一歩脱皮したいという本人の希望と、それに失望する男という構図への説得力。そこから一歩踏みだそうということこそが「箱娘」なのだなぁと思うのです。

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