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2011.10.16

速報→「カミサマの恋」民藝

2011.10.15 14:00 [CoRich]

渡辺源四郎商店の畑澤聖悟が劇団民藝に書き下ろした新作。19日まで紀伊國屋ホール。120分。

東北、相談を受けてカミサマの言葉を伝える女の家。東京から弟子入りしてきた女も住んでいる。近所の女性たちの相談を受ける日々、テレビ番組で出たりしたので、東京からも相談者が訪れる。家主には息子と娘がいるがすでに家を出ている。ずいぶん久しぶりに息子が訪れる。

秋田生まれの青森在住の作家ゆえに東北の言葉があふれる物語。東北にはあるかもしれないと思わせる日常の場所。たとえばナベゲンに比べると役者の(そして客席の)年齢が高いのも、こういう場所、ということの説得力があります。

話をきいて、指針を与えるというのが基本の仕事。「仏降ろし」という少々オカルトな題材もあるけれど、それがカミサマと呼ばれるこの家の主の演技なのか、あるいは本当に降りてきたものなのか、ということは物語では明らかにはされません。じっさいのところ、コミュニティに対する作家の優しい視線だと思うのです。

久しぶりに戻ってきた息子、強面なのに妻に先立たれて死んで会いにいきたいというのをなんとかしてやめさせるべく一計を案じる母親の姿、その母親が息子に見たもの、ということがごくごくミニマルで沁みる物語。 奈良岡朋子演じる「カミサマ」はときにいいオバちゃんであり、時に少しばかりの奇跡がみえたり、時に普通の母親だったり、時に一人の女だったりとさまざまな顔を見せるのです。そのどれもが魅力的だと、紀伊國屋ホールのはるか後方の席からでもきっちり感じられるのです。

民藝は初めて拝見したのだけれど、満杯の客席を埋めるのはあたしよりはすくなくとも10や20年上の人々。こういう客層を集める団体というのは確かにあるんだなぁと思うのです。年会費を払うとその年の公演が観られてパンフレットもついてくる、といういわゆるサポーターズクラブ的なものもしっかりやっているということにもちょっとびっくりします。そういう意味ではキャラメルボックスというのは新劇というシステムに近いのかもしれないなぁと思ったりもするのです。

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