速報→「Kと真夜中のほとりで」マームとジプシー
2011.10.16 14:00 [CoRich]
前売り完売です。125分。24日までアゴラ劇場。
夜中の1時、眠れない女は友人を訪ね、やっと子供を寝かしつけた女は一息つき、テレビのくだらない番組に腹を立てた女は出かけることにし、男は毎晩の日課のように、懐中電灯を持って探索に出かける。
3年前の出来事を結束店にしながら、真夜中に歩き回る人々。時に酔っぱらいの帰宅者も混じりながら、町の中を夜中に動き回る人々。物語としてはごくごくシンプル(なんせ最後の20分ぐらいでもういちど全体をなぞれるぐらいだ)なものがたりを、相当に役者にダンスというか疲労させるような動きを繰り返させて語ります。
今までのマームに比べると、繰り返しはあっても行きつ戻りつが少ない気がします。そのかわり、上演時間の長さもあって、リピートの分量が相当に多いこと、あるいは役者に課せられた動きは相当に多くてかなりの負荷がかかります。
Kの記憶が薄れてしまうということへの追憶、Kの記憶に苛まれる人、街を出て行く人。なるほど、ナイトウォーカーな感じ。
正直に言うと、これだけの負荷と時間をかけて語りたかった物語は何だったのだろう、という感じは残ります。いままでも物語自体はシンプルだったけれど、その場に居合わせたこと、どう感じたかということを醸すような厚みが持ち味だったとおもうのだけれど、そこが少々薄く感じます。 照明が暗く大音量のシーンも多いのです。台詞が聞こえないことじたいは繰り返しのシーンですから折り込み済みだとは思いながらも、情報が極端に少ないなかでこの時間の上演をして醸したものは何だったのかと思うのです。
3年もの間抜け出せなかった「真夜中」のうんざりした感じは確かに醸し出されていて、それは上演時間と無関係ではありません。これがねらって作られたものならばすごいと思うけれど、体感としては少々キツい感じもします。役者の疲労を見せるという点で東京デスロック、リズム二乗せて回るシーンの多用という点でままごと(我が星)に似て見えてしまうのは、順番の問題とはいえ惜しい。
召田実子はこの話の中であふれる愛情とその空回りという異質感が見やすさに貢献していて、本当にかわいらしい。成田亜佑美はまさかの子持ちという役だけれど、終幕近くできっちりと背負う説得力。尾野島慎太朗は一途さをしっかりと体現しています。常連の役者の強みは確かに圧巻なのです。
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