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2011.09.27

速報→「ちょぼくれ花咲男」文月堂

2011.9.24 19:00 [CoRich]

文月堂の新作は劇団初の時代劇。楽曲・踊りも多くエンタテインメントな気楽だと思っていると人情劇だったりする130分。25日までサンモールスタジオ。

江戸、見世物の一座。捕まえてみれば兄弟の男たち。兄は屁を面白く聞かせる芸「花咲き」で稼いで盗んだ金額を返すことにり、その芸であっという間に人気者になる。兄は忘れられない女が花街にいて、弟は座長の娘に惚れていて。種違いの兄弟には二人も知らない秘密もあって。

時代劇の中でも芝居一座など町人たちの芝居。非差別民のような解説はあっても、時代が下ってその由来も曖昧になって貧乏だけれどバイタリティあふれる人々、というようなフォーマット。わりとちゃんと着物だったりと相当に手間も費用もかけている感じ。踊りもたくさんあって、活動写真全盛期の時代劇のような華やかさ。

屁を聞かせる芸、というまあしょうもないネタをきっかけにしながらも、出生の秘密から姫の憑き物、幼い恋心に難病、富くじや出演枠をめぐってのどたばた、花街の悲恋に江戸の大火と、胸焼けするほどにいわゆる時代劇で描ける物語を弁当箱にぎっちり詰め込んだようで、実に濃密なのです。

正直にいえば、物語そのものは、それそれがどこかで見たような話だったりはするのだけれど、それをこの密度で120分に詰め込み、しかも小劇場で成立させてパッケージにしていることこそが、斬新さよりも安心なエンタテインメントをうまく紡ぐ今作の真骨頂だと思うのです。

骨格はこのままにして、たとえば商業演劇(あんまり好きじゃないけれど、この文脈ではほめ言葉として使ってるつもりです)として、新宿コマ劇場で座長役を北島三郎がやっていてもおかしくない、という手触りがあります。役者という意味では、そういうけれん味という点で小劇場は少々不利ではあるのだけれど、屁の芸の長八郎を演じた牧野耕治や座長を演じた前田こうしん、普段みかける芝居ではそれほど目立つ感じではありませんが、今作においては年齢を重ねた味のようなものが物語によくあっています。座長の娘を演じた田中玲のたどたどしさ、憑き物のついた姫を演じた辻沢綾香のバランスの絶妙、花街の女を演じた石川美帆の華やかさが実にいいのです。

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