速報→「もじゃもじゃ頭とへらへら眼鏡」(B)もじゃもじゃ頭とへらへら眼鏡
2011.9.17 19:00 [CoRich]
三本ずつの短編をa/bの二バージョンで。予約していたa版は遅刻で観られず、b版を。110分。神奈川県青少年センター2F。a版の方がポップらしいですが、こっちを観るスケジュールになりました。
学校をさぼりまくる女子高生。アートが好きで作ったのは『美しい原爆』というインスタレーション。が、母親は被爆三世、その父親も出てきて説得を試みるが「MBAB」
裏切られて部屋に引きこもった男。友達が頻繁に遊びに来たり、NPOで活躍する彼女もいるが「ヤマタカミ2/11」
往来でタンスを引っ張ってきて座っている男の物語「ヨコハマ箪笥事情」
「MBAB」は今この時期に無神経な題材だと思わせて始まります。経験していない彼女にとっては、それまでの連続する時間を断ち切るような奇跡として賞賛すべきものに見えているが、被爆二世三世の母親と祖父が対峙するという枠組み。無神経でも何でもアートを名乗れば許されるという幼い発想が起点に。明確には語られないけれど、物語は一種の大人の階段上るための挫折というかすり合わせに着地します。
正直に言うと、もう少し刈り込んでタイトに行きたい感じではあります。母親を演じた須藤旭はある種の出オチだけれど、立ちふさがる壁のようで神々しささえ。娘を演じた三枝ゆきのはその対比と影をにおわせつつ弾ける感じ。演出はポップだけれど、心底物語もポップな題材でもう一回拝見したい気がします。
「ヤマタカミ〜」は引きこもっている男の部屋、バンドで友人に裏切られてはいるが、ギターは捨てられず拘泥している男。隣のゴミ屋敷と、そこからやってくる妖精のような女の子が峻別するという設定がちょっと巧いと思うのです。友達は働き、彼女も元気いっぱいで眩しいという感じは鬱屈してしまった男の視点としてなるほどと思うのです。個人的にはこちらももう少し刈り込んだほうが好きだなと思うのです。舞台奥の玄関・廊下という二カ所を重ねて見せるのは凝っていますが、今ひとつそれが効果的にはなっていない感じが惜しいのです。
「〜箪笥事情」はb編の中では大爆笑編でもあって、パワフル。路上に古いタンスを引きずってきた男の方につけられた「質札」の謎の一人語り。聞くも涙な人情話。落語に仕立てても面白そうだけれど、むしろ大道芸のフィールドで勝負している感じが劇中でも云われる「昭和」な感じで面白い。劇中云われる紅葉坂だと少々往来というには弱いし、みなとみらいじゃ風情がないけれど、たとえば伊勢佐木町あたり、いや東京でも十分いけそうで、往来でこれやってくれないかなぁ。東京芸術劇場の前の広場とかでもできそう。佃典彦の脚本は楽しく、しかし昭和丸だしの男の悲哀が見え隠れがなんか身に沁みる感じがします。 観た三本の中では爆笑編というのもあって、いちばん好きな感じ。
子供の頃はプラネタリウムに通った青少年センター、久しぶりにきてみれば周囲は一変。建物の外観はあのころのままだだけれど、中に入ってみれば展示室だったあたりがリノベーションされていてずいぶん雰囲気が変わっています。演劇資料室なんてものもできていて、ここで日がな一日過ごすのも楽しそうです。
30分×3本というアナウンスがある割に終わってみれば110分なのはちょっとマイナス。それならむしろ云わない方が親切だと思います。
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