速報→「はじめてのにんげんがり」桃唄309
2011.8.10 15:00 [CoRich]
桃唄の新作。当日パンフによれば311で気持ちが変わって書かれたのだといいます。わかりづらさはありますし、ある種の日本が、人が減っていく感じも切ない115分。13日までアトリエBONBON。弟がやりたかったカフェ、直前で居なくなり、跡を継いで開店した兄。地元の商店街の人々が訪れたりする。ドアの向こう側からひっきりなしに入ってくる男女はこの店から出られないのだという。あこがれていた女の人とはうまくいかなかったけれど。その兄も姿を消し、跡を継ぐ人が居て。
扉の向こう側に出て行っては時間が変わったこの店に出てきてしまう男女(ちょっと「クロノス・ジョウンター」やら「夏への扉」っぽい)やら、消しゴムやら、あるいは鎮守といったSF風味と、芝居の構造そのものが時間をあまりに頻繁に行き来するために物語を追いかけづらい感じは確かにあります。カフェの開店の前後、一ヶ月後、一年後、四年後あたりの場面をばらばらにつなぎ合わせて構成されているのに、見せ方としては一筋の物語としては表現されていないので、そのばらばらのピースを自分で組み合わせるというわりと大変な作業が必要で、たしかにこれは頭がクタクタになる感じです。時間軸の流れはシーンをつなぐ台詞だけが頼りだったりするのも、ちょっと大変なところ。
ネタバレかも
狩られていく人間という風には感じられず、何かがあってこの町から人々が去って行って、コミュニティーが崩壊していく感じの切なさ。そうなると鎮守も居なくなり、町が消える、というある種の怖さだと感じて観ていました。ほかの方の感想を読んだりしてみると、なるほど、スーツ姿の男の仕事が(初めての)狩りでなのだとわかります。終幕のスーツ姿になったカフェのオーナーは弟の跡を継いでこの店の鍵を開けて、という物語の始まり。まちがこうなっていくということは分からないわけで、でもじゃあ、未来が見えていないからこそ頑張ろうという明るさが終幕なのはほっこりとできる感じで、なるほど、それはカフェなのだなぁと思うのです。
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