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2011.08.08

速報→「マッチ・アップ・ポンプ」キリンバズウカ

2011.8.6 15:00

キリンバズウカの新作、105分。14日まで川崎アートセンター アルテリオ小劇場。

学校と商工会議所と鉄道とバスぐらい以外は何もない町、二浪した女は予備校の寮から呼び戻されこの 町で暮らしているが不満も多い。母親は10年前に男を作ってでていき、兄は三年前に姿を消して戻ってこない。父親との二人暮らしだが腹が立つ、最近は家庭教師が通ってくる。ある日、予備校の時のクラスメートが女を訪ねてやってくる。

タッパのある舞台、何階層かに組み立てられてきちんと高さを埋めてつくられた装置に見応え。町をぎゅっと圧縮したトミカの町のような。箱庭の一種だと思うのだけど、それを平面に展開しなかったのは正解ですが、きっとお金もかかってるし俳優の負荷もかかってるんだろうなぁと余計な心配。

終演後、今一つぴんときてないアタシに、友人が教えてくれた一つの解釈は、二十歳そこそこの若い女から見えているのは父親もなんかダサいし、ほかにもいろいろ腹が立ったりするけれど、実際の世界はそこまでシンプルじゃないよ、ということ。それぞれの理由があったりする、ということの視点のギャップだという解釈でした。なるほど、これは軸の物語として腑に落ちる感じがします。

閉息した地方の土地、この土地で生きていくことをすでに選んだ大人、同じぐらいの世代でも就職している人はここで暮らしていくことを選びとっているけれど、まだ自立してない感の若い女。離婚した母親への仕送りをつづけたりしているのは、彼女には理解出来ないし、 この町で就職するのが一番可能性がないじゃん、という台詞は若い女性らしい感覚。でも、たぶん日本の大部分に当てはまる現実の姿は、その土地で暮らし続ける人であり、傍目にはそうしてそこまでするかわからないような理不尽だったりを生きる人々。その閉塞感という現実は、今のアタシにはよくわかってしまうのです。

これだけ陰の薄そうな人物を演じているのに強烈な印象を残す小笠原結。ダメ人間の男に自覚しながらもひきづられているのにあっけらっかんと、しかしぽわんとした雰囲気のギャップから醸し出される薄幸さが圧巻で破壊力すら。
気のいいどころか、断れないを通り越して惚れっぽくて少々軽い女を演じた渡邉とかげは、なかなか他ではみられないない感じの色っぽさと翌朝の後悔というギャップも鮮やか。あるいは自分は三軍でモテる彼女は教室で一軍だった、だという自覚のバランスの良さを持つ人物の造型がしっかりしていて説得力があります。
ちょっとした間できちんと笑いを作り出していく日栄洋祐は舞台のテンポを作り出します。

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