速報→「NUMBERS-再開ー」サンモールスタジオP
2011.7.17 14:00
3月の震災で公演スケジュールの途中で中止となった企画公演をリバイバル。確率をテーマに30分ずつ4団体。アタシは初見ですが、それぞれ何かしらの変更は入っているようです。18日までサンモールスタジオ。5分の休憩を挟み150分。終演後に1/4の確率で団扇が当たるイベントを実施しています。
部屋で気がつくと、人々は眼がつぶされ、口をふさがれてころがされていた。部屋には6桁の暗証番号で開く扉が一つ。目的も犯人もわからないまま、人々は混乱していて。「ブラインド・タッチ」(DART'S/作・演出 広瀬格/テーマ 1/1000000)
身勝手なバイトに切れ気味疲れ気味の店長が女性を採用面接している。そのパチンコ屋、新台は往年のアイドルをモチーフにしているが、並ぶ人もまばら、みせはちょっと危ないらしい。でも、並んでいる人の中にはその往年のアイドルが好きだった人もいて「轟くヘヤー!!」(世田谷シルク/作・演出 堀川炎/テーマ 1/10)
人間の運命はすべて台本にかかれていて、その出来事すべてをフォローしているのが黒子姿の何者か。黒子になれば自分の台本を書くこともできるが、見習いの「グレコ」は示された台本どおりに事を運ぶ訓練をしているが、なかなか思い通りにはいかない。そこに探検隊なる未知の生物を探そうとする一団が通りかかる「蝶々一匹。夏を変える。」(The Stone Age ブライアント/作・演出 鮒田直也/テーマ 1/100)
妻はかつてホステス結婚してて子供が居たが、入れあげた客の男が新たな夫となったが、子供は不慮の事故で亡くなり、それ以来夫婦仲もぎくしゃくするようになっていて「ロマネコンティ2006」(同居人/作・演出 山本了/テーマ1/2)
「ブラインド〜」DART'sらしいといえばらしい、救いのない感じの緊迫した空間での物語。謎解きとなる犯人は中盤で明かされるけれど、そうなってしまった手駒の人々がどこに着地するのか、というのが後半の緊迫感ではあるのだけれど、最初から眼を失っているという設定ゆえに誰が助かっても助かった感が薄く感じてしまったり、この救いのない空間で犯人はなにをしようとして、どういう結末を描いていたのか、あるいはどういう偶然がこの状況を招いたのか、というあたりがあまり提示されないので、緊迫感が見えてこない感じはあって、惜しい感じもします。
「轟く〜」は、確率というテーマに対してパチンコというシチュエーションを持ってきたというアイディアと、そこで働く人々の行き場のない感と、そこに通うおじさんたちの日常の感じが絶妙の会話の空間なのに、ダンスをこれでもかと詰め込んだ楽しさも併せて持っていて、ものすごい密度感がわくわくと楽しい。普段女性を中心としたキャストになっている世田谷シルクでは珍しく、男性たちの迫力あるダンスも見所。紅一点となるえみりーゆうなのかわいらしさと、「かつてのアイドルに似ている」というどことなく昭和な香りの説得力。パチンコ屋の呼び込みというかMCのハイテンションと、スタッフ部屋でのローテンションと怖さをあわせ持つ店長を演じた堀越涼の個人技が光ります。
「蝶々〜」はベタな関西弁で無理矢理にでも観客を引っ張る序盤は力技でたいしたもの。人の生き死に、一生を見守る神のような存在と、その中間の「グレコ」という存在を置いて対比させていく感じはよくあるといえばそうなんだけど、そのベタさ加減でちょいちょい笑いをとったり、前時代的なラジカセを持ち出すなどのそこかしこの昭和感の落差が楽しい。
「ロマネコンティ〜」は夫婦の機微というか、心に刺さった抜けないとげのまわりを思いあぐね、先に進まないような進むような、行きつ戻りつな感じ。その結末を託した1/2に「生きて、誰が思い出してあげるの」というのは妻の側の説得力だけれど、夫がそれを受け入れるのはちょっと説得力が薄い感じがしないでもありません。
終演後のイベント企画は、客席を4つに分け、くじ引きで勝った劇団(に区分された)観客に団扇のプレゼント。夏で震災に絡んだ彼らの、確率をもったイベント感は楽しい。
全体の中では、アタシにとっては世田谷シルクが圧巻で楽しい感じ。わりと原作となる物語を持つことの多い作家なのだけれど、こういうオリジナルの、ファンタジーではない日常の空間での台詞が絶妙で、アタシはもっとみたいよなぁと思うのです。その会話と、ダンスなどの組み合わせでリズムに変化が生まれて楽しくみられるのです。
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