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2011.07.18

速報→「僕の時間の深呼吸-21世紀の彼方の時間にいる君へ」ジェイ.クリップ

2011.7.16 13:30

25年前の遊◎機械/全自動シアターの代表作のひとつを21世紀版としてリニューアル再演。18日まで青山円形劇場。そのあと兵庫県立芸術文化センター。135分。

小学生の山田のぼる、父親も忙しく、母親も働いていて帰りが遅い。親がいないのをいいことに学校をさぼり、部屋でレコードを聴いたりしている。同級生からの電話で学校の様子を聞いたり、父親と約束していた映画が見に行けなくなって残念だったり。母親の帰宅は今日も遅くて、冷凍食品のグラタンを温めるように云われるが、オムライスが食べたくて。

記録が残ってないのですが、1994年の四演を観ています。恥ずかしながら、じつは物語全体の構成だどうだったのか、怪しいので21世紀版が構成としてどう新しいかはよくわからないのですが、 記憶にはオムレツ談義のコックたちの大騒ぎ、小学生の同級生の女の子の強さ加減とかが印象的でした。 今作はCGが使われたり、コックたちもきっちり決めている感じ。以前はもっとファンタジー色が強かった印象だったけれど、全体に祝祭感は減って、そぎ落としてスタイリッシュに。

当日パンフによれば、「先の時間を夢見ることを恐れず、夢を軽やかに語ってもらいたい」と考えた21世紀版なのだといいます。オムライスを巡る騒ぎ、彼を待ち伏せる同級生の少女、病院での悩みの吐露、図書館の綺麗な司書への憧れと新しい本との出会い、映画館で見かけた少女と父親のぎこちないデート、バーで呑んだくれてグチを云ってみたりと、さまざまな場面の点描を積み重ね、人生の場面を夢見ているという体裁にしたのかなと思うのです。

ゆりかごのような宇宙船のような狭い空間で音楽を聴いている少年に見える未来は、夢いっぱいの広がりなんかじゃなくて、同級生の女の子、飲み屋のクダ巻き、退職の地味な感じと、手の届くようなコンパクトな未来。今の感覚にはよくあっているけれど、これが25年前のままというのならすごいことだと思う反面、それは地に足のついた女性の眼からみた世界の見え方なのかなとも思うのです。その想いの強さを強く印象づけます。

同級生の女の子・タニガワさんを演じた新谷真弓、いままでは可愛くなくて少々押しつけがましいお節介焼き、という感じだったこの少女像を、可愛くて、でもうざったい押しつけがましいという新たな造形をしっかりと。高泉淳子の少年・山田のぼるの絶品はびっくりするほど変わらず魅力的。

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