速報→「水平線の歩き方」キャラメルボックス
2011.6.10 15:30
再演となる「水平線~」(初演)60分、19日までサンシャイン劇場。どちらか一本なら、こちらを。
失意の男の前に現れた、死んだはずの母親。どうやって生きてきたのかを訊く過程は男の過去を観客と共有する貴重な時間。
客席のすすり泣きがそこかしこ、というぐらいに観客を組みしだいて逃さない物語。母親の幽霊というと「蠅取り紙」が思い浮かびますが、どこか繋がる感じもあって、働きすぎているぐらいに働いていて、底抜けに明るくてというあたり、子供が思い浮かべる母親の思い出って、きっと笑ってる姿なのだよなぁと思ったりもします。
男を演じた岡田達也は、もともとの出演予定だったこちらのほうが自然で魅力的。(もちろんそれには事情があるわけですが。)母親を演じた岡田さつきはほぼ始終舞台上に居続けるしっかりとした芯。そのオフショットのコミカル、たとえばお菓子食べたり、なんていうのは可愛らしく。それは終幕に向かってゆるやかにつながります。なるほど、生きていくことは食べること、というコントラスト、作ってくれた人の姿、その味覚の記憶。味覚や思い出から広がる安堵感を感じさせるいい幕切れなのです。
子供と母親の物語であると同時に、一人で生きていく、という男の物語でもあって、誰かに頼ることはしたくない、という終盤の男の台詞はちょっとガツンときます。
あるいは年齢が進んだ男の、引き際の物語でもあって、これは自分の年齢がそれなりになってるから感じるのなと思いつつ、ここもガツンと。 スポーツこそが自分の選びとるもの、という想い、あるいはいつかは引退しなければいけないということはわかっていても、それに踏み切れないままに悩みもがくのもまた人生の姿。そこに寄り添う女を演じた前田綾の想いがあふれる瞬間も好きなシーンです。
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