« 速報→「パ・ド・ドゥ」七里ガ浜オールスターズ | トップページ | 速報→「ビタースイート」studio salt »

2011.05.29

速報→「紅き深爪」風琴工房

2011.5.28 14:00

風琴工房の詩森ろばの代表作のひとつ、まったく新しいキャストでの3演。初演(2003)も再演(2006)も拝見しています。65分。29日までギャラリー・ルデコ4。

母親の連鎖する虐待、奔放な姉の妊娠も、誠実に看病を続ける妹の娘も、すべてが悲劇の連鎖。

いままでの上演に比べて大きく台詞を変えたわけではないようですが、上演時間は短めで、姉の印象がむしろ泣きに寄っている感じはするのに、全体で観ると乾いているというかすっと流れるようなタイトさがあるように思います。

この芝居の中心となる虐待の連鎖とそれに苦しむ周囲の物語よりも、アタシが以前観たときから心に強く印象を残すのは、姉と夫の捻れた関係です。ホモセクシャルではなくて、あくまで男の体、抱くのは女なのに自分の気持ちの中では女、というトランスセクシャルという関係は何度観ても、アタシの気持ちに強い印象を残します。 奔放な姉を演じた葛木英は、勝ち気のスタイリッシュという印象が強い役者ですが、これだけ泣きの芝居というのは珍しい感じもします。登場した瞬間の華やかさも新しい印象を強く残します。看病を続ける妹を演じた浅野千鶴は秘めたるエネルギーゆえの怖さをあくまでも静かに描きこれも今まであまり拝見したことがないような感も。姉の夫を演じた佐野功は、いわゆるオネエ言葉っぽいのをつかっても単なるホモセクシャルではない、という難しい役を説得力のある「おとこ」として描く確かなちから。 正直に言うと、センター席とサイド席ではずいぶん印象が異なってしまうという感じはあります。小さな空間ゆえの濃密さはルデコが勝ちますが、どうしても席による見え方、感じかたの差はまちがいなくあって、それゆえにセンター・サイドと客席を予約順で売り分けたというのは誠実なことだと思うのです。

|

« 速報→「パ・ド・ドゥ」七里ガ浜オールスターズ | トップページ | 速報→「ビタースイート」studio salt »

演劇・芝居」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 速報→「紅き深爪」風琴工房:

« 速報→「パ・ド・ドゥ」七里ガ浜オールスターズ | トップページ | 速報→「ビタースイート」studio salt »

役名 初演(2003.3) 再演(2006.7-8) 三演(2011.5)
長田睦美 吉川愛 松岡洋子 浅野千鶴 看病する妹
森本妙子 松岡洋子 藤田るみ 葛木英 その姉
森本宏治 泉陽二 好宮温太郎 佐野功妙子の夫
長田良平 増田理 鈴木歩巳 園田裕樹 睦美の夫
長田知奈 笹野鈴々音 大塚あかり 睦美の娘
栗木志保 中村紗夢 大藤寛子 横尾宏美 夜勤の看護婦

ウェブ全体から検索
「休むに似たり」内検索

おせわになってます。

無料ブログはココログ