速報→「エクレア、ヘディング」ナカゴー
2011.5.6 20:00
ナカゴーの新作。劇団員主体の配役。3本の中ではアタシの好みにもっとも近い70分。8日までアルシェ。
酔っぱらった勢いで持ってきてしまった「いけふくろう」を返しに行こうかと待ち合わせている女たち。そこに迷子らしい子供。池袋に行かなきゃいけないので連れてってと云う。かわいらしさに盛り上がり、連れていくと約束したのに、気が付けば女の部屋で宴会になっていて。いつになったら連れていってもらえるのやら。
まあ、端的にいえばお姉さんたちが男の子をいいようにしちゃう、なんて話なのだけど、女たちのかみ合っているようでかみ合っていないような駄話が延々続いたりするベースの話に組み合わされるのが、ほぼ飛び道具のような子供を演じた篠原正明の破壊力、見ているうちに本当に可愛らしく見えてきてしまうのが怖い。「月餅」とのコントラストがすごくて、目が離せないのです。
男に対するある種の鬱屈の吐露が暴走し、蹂躙に結びつく、とい「暴走する女たち」に対する男の恐怖のようなものが見え隠れするのは、どこか腑に落ちてしまう自分が悲しい。けれど、親族じゃない年上の女性に対するある種の恐怖っていうのは確かにあるよなとおもうけれど、アタシにとってはそれもまあきっと遠い過去の話(泣)で、なんか懐かしい風景に見えてしまいます。
今回の三本いずれも、そこかしこに震災のちょっと斜に構えた香り付けをしています。もっとも色濃く影響しているのが今作で、震災ノイローゼとでもいう女は物語そのものには影響しないけれど、印象に残ります。節電を強制し、揺れてないのに揺れてるといい続け、勝手に被災者だと思いこみ、そのくせ水を買い占めていたり、悪意いっぱいに描かれていてそのデフォルメ具合が圧巻。どう向き合うか、というところまで行けばすごいけれど、若い作家の視線としてはこの悪意感がまず大事な気がします。
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