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2011.05.09

速報→「どんとゆけ」渡辺源四郎商店

2011.5.7 14:00

未来の架空な死刑執行の制度を描く2008年初演作の再演。90分。青森公演のあと、ザ・スズナリでは8日まで。

死刑執行員を一般の公募で選び、候補者が居なかったとき、執行の拒否があった場合は自動的に無期になるという「死刑執行員制度」。殺人の罪で死刑が確定した男、獄中結婚した妻が場所の提供を申し出た。死刑囚、連行し執行を補佐する拘置所の保安課長、執行を申し出た被害者の父と妻がやってきて。まさに死刑が執り行われようとしている。

裁判員制度の話題だった頃に、その先の「死刑の執行すらも人々にゆだねるようになった架空の設定。実際に可能かどうかは別にしても、執行する人、つまり手を汚すひとがいないのならば死刑は行わない、という制度の考え方自体は(死刑制度廃止のベクトルを持つとはいえ)はもしかしたら悪くないんじゃないかと思うのです。死刑執行とはいえ、人を殺すということではあるわけで、死刑廃止反対論の「被害者家族の気持ち」は汲みつつも、死刑執行自体だって背負わなければいけないのではないか、という視点は結構腑に落ちる感じもあります。もちろん、実際に、と考えれば相当に荒っぽいわけで、アタシの素人考えですが。

初演に続いて獄中結婚した女を演じた工藤由佳子はより強い色気の演出という印象なのは重ねた年輪なのか、それともアタシがそう読んじゃう気分なのか。終幕であかされるこれが初婚じゃない、というあたりのある種のホラー感をよりリアルな感じに。保安課長を演じたささきまことも初演から引き続き。木訥さと、規則に忠実な感じ、時に規則を忘れてトランプにふけってしまうのも味があって生きている役。死刑囚を演じた工藤良平は最後の悪あがきな感じの小物さが印象的。父親を演じた田中耕一は犯人憎しだけれど、揺れてしまう気持ちをしっかり。トランプのシーンのかけ声も絶妙。初演では(看板女優のひとり)工藤静香が演じた被害者の妻を演じたのは三上晴佳はその年齢に見えないというのはご愛敬だけれど、なかなか見られない、ヒールでいつづける難しい役を見劣りなくきっちりと。

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