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2011.05.09

速報→「あしたはどっちだ」渡辺源四郎商店

2011.5.7 19:00

ナベゲンの二本立て公演の二つ目は「どんとゆけ」後日譚。死刑囚の獄中結婚、死刑執行員制度なる架空の設定を引き継いだ2年後の物語。90分。青森のあと、8日までザ・スズナリ。

確定した死刑囚と獄中結婚を繰り返す女の家。幼稚園で金属バットを振り回して幼児と園長を殺した男の死刑が行われる。最近の改正で、絞殺刑に限らない手段での死刑執行が事前の申請により可能になり親たちは金属バットをもって集まる。
まったく反省の色が見えない死刑囚は、むしろ死刑になることを望んでいる。
殺された園長の妻もまた幼稚園の先生で、犯人は彼女を訪ねてきたのに止められなかった、と悔やんでこの場にきている。和解は成立しているが、親たちとのわだかまりも完全にはなくなっていない。そろそろ時間だが、自分の手で撲殺するというやりかたに被害者の会の親たちの集まりも遅れがち。

と、物語だけ書き出してみると深刻な物語だし扱っている事件の質の違いもあって、「どんとゆけ」に比べるとコミカルさやほっとする感じは少し薄め。死刑執行員制度というものが数年たってふつうのものになっている、ということもあって、執行員に申し込むことの抵抗が薄れているけれど、だからといって簡単に「人を殺せるわけではない」ということが物語の根幹に。一組の夫婦(被害者の会の代表の夫とと広報的役割の妻)、シングルマザー、事件後脱サラして居酒屋を始めた男という殺された園児たちの親のコントラスト。結果的におんな親たちは執行に賛成し、おとこ親たちは執行に反対するという構図になっているけれど、それを単に母性の問題として描かない、というあたりが作家の少し意地悪なところ。表にたつことを生き甲斐にしたステージママの妻に対して、夫は再婚してそもそも距離がある、ということだったり。

「聖職者」という立場を置いたのは人間の行くべき方向の理想。対比するように、どうしても犯人を許せない、どうしても手に掛けてでも殺したいと考えるシングルマザーを 対局に置くことで観客の気持ちの振れ幅をしっかりとみせる安定感。

というような被害者たちの物語とは別に、このシリーズの「獄中結婚マニアの女」の位置もしっかり。彼女のこの「性癖」の原点すこし提示し、どういう男と結婚したいのか、というのは異常な感じは見せつつも、ホラーテイストがきっちり描かれています。二本ともに出演する工藤由佳子の表情が実はとても怖くて、死刑囚を救おうという要素にはまったく興味がなくて空虚な目をしていることの怖さ。かと思えば、おもねる強い色気にやられそうになるのです。終演後に(主宰)のいうアンケートのお願いに添えて「続編の要望などなど」というのはちょっとみてみたい。続編というよりは、この女がせりふで少し語った、最初の恋人の物語をエピソード1としてみたくてたまらない。

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