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2011.05.25

速報→「解体されゆくアントニン・レーモンド建築 旧体育館の話」趣向

2011.5.22 13:30

「趣向」の公演。トークショー見損なったけれど、アントニン・レーモンド設計の東京女子大学旧体育館取り壊しをめぐる女子学生たちの物語。130分。神奈川芸術劇場大ホールで、23日まで。初稿がオンライン公開され、USTREAM配信の録画もまだ観られるようです。

大学に入る。勉強するため、遊ぶためだったりの女子学生たち。学生寮に入ったり、2時間かけて通ったり。体育の授業やサークル活動が行われる旧体育館、そこですれ違ったり待ち合わせたりサボったり、居合わせたり。哲学の本に共感したり、学祭に頑張ったり。やがてその旧体育館(Q体)が取り壊される予定だと知って、動くひともいて。

場所から発想した、というよりはその場所を過ごした作家がかいた「自分の居た世界」の物語。演出は後半の彼女達の後日譚から発想したのかどうか、時間の奥行きを感じさせる感じに。決して影響されたわけではないと思うのだけど「わが星」を観てしまったあとでは少々不利な感じは否めず、浮揚感には欠けるものの、あれよりは身近な4年ぐらいの時間軸で、しかし女性たちの動く動く姿が実に美しいのです。

戯曲を読んで思い出した、「永遠を望むのが女子のたしなみ」も実にいい台詞。

広い素舞台、疾走する感じが実に楽しくて、それを観ているだけで幸せな感じ。聴いただけでは馴染まない(同じ音の言葉が他にもあるから)熟語が多いのは、当日パンフであらかじめフォローしようというのは有り難いけれど、特定の用語はともかく、熟語を耳にして迷わないような言葉だと嬉しいのです。

序盤、2時間かけて通う自宅生と寮住まいのある種の自由さと規律が並行に演じられるシーンが結構好き。アタシは2時間側でしたが、ああ、そうそうそういう感じという共感。丁寧に丁寧に描いた彼女達の毎日が続いたあとに提示される体育館のこと、場所に寄り添ったスパイスが加わることで、彼女たちの日常が少し変わったり、変わらなかったりするコントラストが楽しい。熱心に体育館を残したいと思う「哲学」よりも、もっとセンスのいい効率的なやり方を難なくやってしまう「奔放」や

さまざまな女性達に寄り添うように、カウンターパートだったり内面の否定的な声だったりと自在に変化する菊池美里は時に怖く時に大いに笑い、美しさと圧巻の活躍。サキヒナタ演じる真面目な女学生・哲学のまっすぐさを体現するようで素敵。敬虔を演じた清水久美子の才色兼備、なぜかすこしばかりの色気を感じたり。あるいは奔放を演じた辻村優子にもやられ。女優達のそれぞれの魅力が沢山。

この手の史実や建築に立脚した物語はwikipediaとビールを片手にさまざま読んだり眺めたり、というのはアタシの好きなタイプの芝居。そういえば大学生の頃に一回だけあのキャンパス、学祭に行ったよなぁ、でも当然Q体なんて知らなかったから見て無くて惜しいことしたよなぁ、なんて少々甘酸っぱい記憶が蘇ったりするのも、個人的には楽しい。こんど吉祥寺に行ったときにでも、女子大通り歩いてみるか、ならば、横浜じゃなくて、吉祥寺や三鷹の劇場で観たいよなぁと思ったり思わなかったり。

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