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2011.04.24

速報→「流通戦争だよ全員集合!」ギンギラ太陽's

2011.4.22 19:30

ギンギラ太陽'sの新作。どちらかというとイベント色が強く、博多や天神の物語を中心に据えなかったという意味で異色な一本。85分。23日まで西鉄ホール。

博多駅ビルが全面改装を迎え、多くの商業ビルを擁する天神地区はJRでやってきた観光客が駅の中で取り込まれ天神までやってこないのではないかと戦々恐々としている。かつて北海道・札幌も周辺の老舗百貨店が駅ビルの改装に苦しい戦いを強いられている。そんな中、新たにパルコが天神の地に仲間入りした。

パルコは開店にあたりギンギラ太陽'sとのコラボレーションを図ったようで、パルコを表す「ビルキャラ」も公募をもとにつくったよう。そのキャラクタの発表イベント、という意味合いと、夏に上演を予定している新しい博多駅をめぐる物語の先例、つまり切磋琢磨してきた地元の老舗百貨店が、JRと大手百貨店が手を組んでしかける駅直結の大型商業施設に苦戦を強いられる、という二つのパートで構成。

地元のネタゆえの笑いで勝負してきた彼らにしてみると、地元のビルがそれこそ「全員集合」する前半部分は客席をを大きく沸かせます。イムズ、三越、大丸、天神コア、岩田屋、ソラリアなどが勢ぞろいして、博多駅改装で売り上げが減るのは自分ではないかと危惧しまくるのはコミカルで楽しい。

それに続く中盤はいわゆる襲名披露のようなフォーマットを使って、呉服店時代からの歴代の岩田屋が勢ぞろい、パルコをどうかひとつよろしくお願いしますとばかりに笑いをとり、一般公募の中のボツ作でもうひと笑いとって、妹キャラという位置づけを与えられたパルコを登場させる流れは見事。これまで地下入り口前に岩田屋時代から設置された「河童」をパルコの代わりに使ってきたキャラクタから一気に新キャラに「モーフィング」、役者も同じ杉山英美で、そのギャップにびっくり。「妹キャラ」の舌足らずと表裏、しかも若い年代特有の計算高さというより生き残りへの真剣さを描くのが実はちょっとすごいと思うのです。バブルに乗ってイケイケだった頃とは違う今のパルコが今新規出店するというスタッフの真摯な気持ちが見えるよう。

後半は、そこから唐突な感じで、(いちおう博多とよく似ているので、という注釈を当日パンフにも劇中にも組み込んで)北海道開拓史に。五番館、丸井今井、丸ヨという聞きなれない店名、いままで博多の観客たちは経験したことのない「地元ではないネタ」、しかも笑いを少な目に作られた物語に客席は静かになるのです。が、注意深く作り上げられた物語は、天神・博多の商業ビルたちの物語に重なります。福岡側をあえてテッパンキャラである過去の「玉屋」ではなく、今の商業ビルたちだけで描くのは「これからここに起こること」を予感させるのです。

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