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2011.04.24

速報→「グラデーションの夜《黒の夜》」KAKUTA

2011.4.23 19:00

KAKUTAのサウンドプレイ3週連続企画の2週目、ホラーテイスト中心の3+1本構成で115分。24日までアトリエヘリコプター。

安いラブホテルに入った男と金で買われた女。彼女は普段は会社勤めでどちらかというと地味。粗暴な男がシャワーに消え、心の中で悪態をつく女の前に突然別の派手な女が姿を現す「デッドガール」(桐野夏生)
祖母が亡くなるときに注意しろと云われていた和風の手鏡をのぞき込んだ高校受験前の女、そこには志望校の制服を着てほほえむ自分の姿があった「ささやく鏡」(今邑彩)
男の記憶は子供の頃から過去のことが曖昧だった。あるいはやったと思いこんだことは悪友の云っていた先祖の記憶が遺伝しているだけなのかもしれない。古井戸にしかけた落とし穴に落ちた少女が忽然と姿を消したのも、悪い女に手をかけ困ったあげく投げ込んだ同じ古井戸でまたも姿が消えたのも。母親は、自分の体が動かなくなったらちゃんと始末してほしい、どうせ面倒など見られないのだからと云っていて、果たして倒れてしまい「迷路」(阿刀田高)
旅行に出かけようとしている女の古い知り合いの男は漫画家で、かつて人気シリーズがあったが、善人だったはずのキャラクタが最終話で突如悪人となった後味の悪いラストだった。漫画家はその後次々と作風も物語も変えて描こうとするが、頭の中からどうしても離れない男のことがあって「グラデーションの夜」(桑原裕子)

怖い物語を中心に構成。地の文を読む「語り」がいるほかは、シンプルではあるけれど基本的には役者たちが芝居をしているという構成は変わらず。イラストレーターとのコラボレーションはマンガ原稿だったり、影絵のような味わいのある和テイストのイラストだったり。

「デッド~」は色っぽさ満載の序盤から不思議な体験へ巻き込まれる感の楽しさ。小説では表現し得ない、そこに生身のからだがあることと、そこにはいないのに見えることの対比はリーディングの効果。ヨウラマキの引き込まれるような色気にちょっとやられる。

「ささやく~」は不思議な手鏡というSF風の始まりだけれど、それは人間の想像や妄想というものの怖さを感じさせる終盤の落差が効果的。今作においても、ある種モテ役の若狭勝也がちょっとうらやましいけれど、その後の凋落でプラスマイナスゼロ、ということで(←意味のない比較)

「迷路」は阿刀田高らしいショートショートSFの切れ味のような終幕が強く印象に残ります。序盤から全体に貫かれる、曖昧な記憶、遺伝や風穴といった知識のつなぎあわせで不思議な出来事を「理解」しているけれど、そこに大きな穴がある、という物語の運びがちょっとすごい。

3週間を貫く一人の女性の出会う物語、「グラデーションの夜」は、ホラーテイストにあわせて、マンガ作家、自分の描いた登場人物から逃れられない、という物語は作家らしくて、じゃあ、本作の作家が逃れられないのは、あの登場人物かしら、と夢想する楽しみもあったりして、来週の「桃色」を楽しみにしてしまうのです。

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