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2011.04.04

速報→「トップ・ガールズ」シスカンパニー

2011.4.2 18:00

圧倒的な女優陣と物語のおもしろさは折り紙付きなのだけれど、加えておそらく演出、あるいはシンプルな舞台の装置の新鮮な驚きが楽しい150分(休憩10分込み)。24日までシアターコクーン。

人材派遣会社で男の上司を追い抜き、トップに立った、強いキャリアの女。それをしみじみかみしめる夜、パーティのように、歴史上の「トップ・ガールズ」たちが集まり、彼女に寄り添う。
現実のオフィス。職を求める女たち。若くキャリアアップが見込まれる女も、あるいは年齢がいって「転職してないことに焦る」女、あるいは働いたことなどない女など、どうみてもキャリアが望めない女もやってくる。トップに立った筈の女を田舎の姪っ子が一人で訪れる。実力主義で自分がのし上がっていくのが正しいと信じているけれど、どこか「足りない」姪っ子には将来のキャリアは望めない。思い出すように、少し前に田舎の姉の家を訪れた時のことを思い出す。田舎で沈んでいくような姉とはいつも口論になるけれど、姪っ子のことは気にかかってしかたがなくて。

脳内、歴史上の「トップ・ガールズ」たちのパーティの場面。不利な社会状況の中で男に負けないどころか超越する女への風当たり、足を引っ張るのは男も女も。恋の心、子供を持つこと、隠すこと。歴史上の女たちを並列的にならべることで、時代が進んでいるのに根本的なところでかわらない女性の社会的な立場というものを物語の下地として鮮やかに敷いていきます。

現代劇のパートは、人材派遣(というよりは転職・就職のエージェント、という感じですが)の会社で男性を押さえてマネージャになった女性を軸に、会社に訪れる女性たち。ふわふわとした憧れだけだったり。あるいは実力もあるし現職に不満もないのに、転職しなくちゃという焦り。そこからさらに変わった終幕は、そのマネージャーの姉の家でのできごとから、彼女自身の抱えるジレンマが、社会に置かれた女性の位置の変わらない障壁に起因していることが鮮やかに描かれるのです。

厳しい見方をすると、彼女自身の、ひいては女性たちの置かれた苦悩や厳しさを描くばかりで、じっさいのところ問題はなにも解決していないのだけれど、それはまったく問題ではありません。そこにいまある問題を見せる鮮やかさ。それは物語自体のすごさもさることながら、演出の鮮やかさが実にすてきなのです。

テーブルと椅子、舞台を区切る長方形のフレームの角度を変えたり、その次の場面から現れるのは背景に場所や大きさをかえながらするすると現れる「光る面」。ごくシンプルなこれだけの装置で、映像のようなカット割が印象的でなによりスタイリッシュに作り出されるのはちょっとすごい。実力めいっぱいの女優ももちろんだけれど、このパッケージというか見せ方は実にスタイリッシュで、キャリアの女、という物語の雰囲気にもよくあっている感じで印象的。なにより、するすると光の面が広がったときの、うあっという驚きとわくわくする感じ、やってることはシンプルなのに、広い舞台を濃密な空間に変える魔法がそこにはあって、気持ちを鷲掴みにされてしまうのです。

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