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2011.04.11

速報→「パラリンピックレコード」北京蝶々

2011.4.9 14:30

「あなたの部品」( 1, 2)の別視点の物語。前作から始めた外部演出が奏功の軽やかさ。95分。10日までシアタートラム。

障害者アスリートの男、ライバルに勝ちパラリンピックに出ることに。ライバルの男は失意のうちに引退を宣言する。イシハラ都知事は父親の果たせなかったオリンピック招致の夢を果たすが、日本のメダルの期待ができないことから、義手義足などを使ったパラリンピックにメダルの期待をかけるために補助金を増やすことにする。有害だと判断された出版物の規制条例は安定して運用されてきていて、いわゆるエロマンガは地下で取り引きされるようになっている。漫画家や障害者、精神的な弱者たちはビッグサイト跡地の地下に要塞を作り女王以下、隠れて暮らしている。
ある日、イシハラ都知事はサイボーグ化されたアスリートたちに拉致される。

トークショーによれば、一年半前に提出した企画書では統一地方選挙の日程は知らなかったのだといいます。あまりにタイムリー。が、これを書いてる時点ではこの物語の警鐘は果たされそうにない残念な感じ。

イシハラという名前の人を仮想敵として中心に据え、マイノリティーとの対立を軸に物語を作り上げていきます。障害者を物語で扱うとどうしても陥りがちな感動というものには繋げないというのはちょっと新しい感じで、たとえば障害も個性の一つ、という耳あたりのいい言葉で片づけないところに作家の覚悟を感じます。それでも、マイノリティーに配慮することができないという都知事の姿もまた、ある種の障害というかマイノリティー

正直に云えば、都知事、障害、マイノリティー、表現規制など、題材を盛り込みすぎているきらいはあって、広げた風呂敷や話題を回収し切れていない感じは受けます。

軽さやある種の薄っぺらさが全面に出てくる中屋敷演出だけれど、アタシが彼の演出で好きなのは、たとえば目をつぶっていても らしく、声や音を重視した演出がアタシは大好きです。たとえば姉を演じた帯金ゆかりや、女王を演じたコロの声の可愛らしさにやられます。あるいは、サイボーグを演じた4人にそれぞれ登場のテーマ曲を歌わせたり、スポーツライターを演じた安藤理樹の探るような声、あるいはアスリートを演じた堀越涼、山本卓卓の改造後には訛りのある言葉をしゃべらせたり、あるいは 「プリウス」というダジャレに至るまで、iPodに入れて繰り返し聞きたいぐらいに音としての楽しさにあふれています。

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