« 速報→「変な穴(男)」MU | トップページ | 速報→「変な穴(女)」MU »

2011.04.02

速報→「廃墟」時間堂

2011.4.1 19:30

演目を変更して三好十郎の「廃墟」(青空文庫解説)をがっつり150分。10日までシアターKASSAI。

戦後すぐ。焼け出された教師とその家族、親戚、知人たちが洋館に一部屋焼け残った居間を借り受けている。戦争と教育の責任を感じた教師は学校に勤めず、闇買いに手を出さず、明日食うものにも困る有様。学生が見かねて復職するように勤めたりするが頑として聞かない。焼けてしまった家の工賃を取り立てに来る女もいたりする。 その教師、長男、次男、叔父たち男どもは共産主義と不良と教育の責任の激論を交わしている。家を切り盛りするのは次女。もう一人切り盛りする、元教え子の妹は叔父がつれてきたが、魅力的で長男は心を惑わせる。

2時間半という上演時間に恐れをなして、青空文庫でざっと読んでから観ました。直前まで読んでいた台詞、記憶力ないアタシでもそこかしこ割と覚えていて、そこから役者を得て立ち上がる舞台は不思議な感覚。読んでいなかったとしたら、この時間、自分が緊張感を全編にわたって維持できたかは甚だ心許ないところなのだけれど、この物語の濃密さと終盤のほっぽり出し具合を楽しく観られるのです。

頑固なまでに信念を貫く教師と、戦争が人生を変えてしまった人々。あの戦争はもう二度とごめんだ、という想いは同じなのに、その先どうしていくかは全く異なる意見の人々。

正直に言えば、地震の前だったらアタシの感じ方もずいぶん違っていたと思うのです。人間がやってしまった「戦争」と、天災である地震との違いはあれど、そこに翻弄された生活の場所を描き出しているのです。もちろん、その切実さは今のアタシ自身にはないのだけれど、それでもずっと身近に感じられるというのは、今のアタシだから、なのです。

酒が入り至った男たちの大激論。もちろん彼らはしごく真面目なのです。共産主義にしたって、崇高な教育の理念にしたって、あるいは世を儚んでの投げた感じにしたって、それぞれの男たちの言葉は、立派かもしれないけれどどこか虚ろに響きます。トークショーで演出家が言った「通夜の時に酔って激論する親戚のおじさんたちと、それを横目に片づけたりするおばさんたち」という構図がじつにぴったりする感じ。その片づけする女たちの地に足をつけた感じが力強い。

こういう役は珍しい気がする猿田モンキーの重厚、弱々しさと矜持とが同居する力強さ。酒巻誉洋の優男、斜に構えた感じがカッコイイ。菅野貴夫のきまじめ、鈴木浩司の軽やかに物語のリズム。高島玲の幼さないけなげさと、難しいことは判らなくても世界が「見えている」感じの説得力。百花亜希の色気、ああ確かに彼女が一つ屋根の下に居たら惚れるよな、というこれも説得力。

|

« 速報→「変な穴(男)」MU | トップページ | 速報→「変な穴(女)」MU »

演劇・芝居」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 速報→「廃墟」時間堂:

« 速報→「変な穴(男)」MU | トップページ | 速報→「変な穴(女)」MU »