速報→「15Minutes Made TOUR」Mrs.fictions
2011.4.10 18:00
今年はこれで打ち止めの15分対バン形式オムニバスは、東京に加えて大阪へのツアー形式。在阪劇団も加えての125分+トークショー(観られなかった)。10日までシアターグリーンBox in Boxシアター、そのあと大阪。
気になる女の子をクラスメイトと待ち伏せる駅前の喫茶店、果たして女の子は友達たちとやってきて「恋心」(ミジンコターボ)
一年生の時に出会った先輩は写真部なのに妙なストレッチをしていて、美しい人なのになぜか友達がいなくて。就職して久しぶりに出会って仲良くなったけれど、私は伝えなければいけないことがあって「わたしのせんぱい」(劇団競泳水着)
夏、部屋でおっぱいのことばかり考えてゾンビのように眠り続けるだけの生活をしていた男、が、そこに凍った少女を見つけて「vol.5.4 夏に」(ロロ)
自身はあまり伝えたくない隠れた偉人伝、ファーブルはひとり家に戻ると糞ころがしの生態を知りたくて、観察を続けるうちに、同化してしまうようで「M.Mushikun」(劇団ガバメンツ)
お風呂で一人、33年生きてきたけれど結構がんばってるけれど、ここの幸せ、まるでどこかに飛んでいってしまいそうなふわふわとしあ幸せ「浴槽船」(FUKAIPRODUCE 羽衣)
食事をする女、前に座る男。産むと決めた女に本当に大丈夫か、なにか助けることはないかと男は問いかけるが、女の意志は固く「殴る蹴る」(Mrs.fictions)
大阪の二劇団を加えて、気楽に楽しめる感じでバランスのいい仕上がり。
ネタバレかも
「恋心」は初恋にまつわるちょっと長い話を3分50秒にまとめて、というあたりからひっくり返すアイディアの勝利ではあるのだけれど、シベリア少女鉄道がもっと複雑なパターンですでにやってしまっているというのはまあご愛敬。反面、15分のなかではダンスを交えてエンタテインメントとしての仕上がりを見せる短編に仕上がっていて、大受けの客席、休憩時間に多くの観客が彼らの次回公演のチラシを興味深く読んでいるというのはそれだけのパワーを感じさせる仕上がりだったということなのでしょう。
「わたしの〜」は、友達が少なそうな二人の女性のゆるやかな時間の流れ、別れという構成は作家の得意パターンといえばそうで、飽きたという人もいるかもしれないけれど、この対バン形式なら強いパターンで勝負するというのはまったくもって正しくて。人との距離感がうまくつかめない、美人だけれど端から見てると浮いていてちょっと妙な人、という設定の細野今日子が可愛らしくコミカル、その友達となる後輩を演じる大川翔子も静かに、観客私たちというか社会のバランス点としてのしっかりとしたポイントを押さえる説得力。こういう「些細にずれている人」が自分のどこかにつながるのだ、とかんじとる観客にヒットする感じは、小劇場ゆえの私たちの皮膚感覚に近い感じ。
「〜夏に」は灰色の日々にボーイミーツガールしてしまったというシンプルな物語。ある種のファンタジーだけれど、これだけシンプルならば曲に勢いを借りているというのは少々もったいない感じも。かき氷の使い方がちょっと洒落ていて実はけっこうかっこよかったり。
「〜Mushikun」、ファーブルの変人ぶりというのは作家の興味をかきたてるのか、フンコロガシを扱った「昆虫大戦争」(こゆび侍)や、もっと前なら「ファーブル-南フランスが生んだこの地味な偉人のすべてを 誰が知りたい?」(猫ニャー)にも、まさにそのままのタイトルのものがあったりします。ファーブルとフンコロガシの愛憎を描くような感じはコミカルで、気楽に楽しめます。
「浴槽船」は30代女子の風呂のひととき、寄る年波と、ふわっと息の抜ける空間、少々コミカルに、少々オーバーアクションなミュージカル仕立てとして成立させています。その女子の自分語りから、ズームするように地域、地球、宇宙と自在にとびまわれるのは舞台ゆえで楽しい感じ。段ボールの風呂にはまったまま、というのは仕方ないところなのだろうけど、挨拶までそれで、というのは少々安っぽく見えてしまうのが惜しいところ。
「殴る蹴る」は産むと宣言した女と、自信なさげな男の対話。その関係が中盤で見えてくる提示の仕方が絶妙で、美しいファンタジーになります。おかずの並ぶ食卓の前での会話なのにこれだけのファンタジー、見せ方のうまさもあってすてきです。佐藤みゆき演じる女の自然体な、しかし意志の強い感じの「普通さ」は美しく、自信なさげな男を演じる岡野康弘のバランスの絶妙さに舌を巻きます。
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