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2011.03.20

速報→「〆(しめ)」自転車キンクリートSTORE

2011.3.19 14:00

自転車キンクリートSTOREの新作、120分。27日までRED/THEATER。

アパートの一室に籠もっているライトノベルの作家の男。書いてきた人気作最終巻の締め切りはとっくに過ぎ、現行の催促を怖がって電話もテレビもネットも遮断してゲームに没頭している。
突然現れたファンだと名乗る女が部屋に上がり込んでくる。いきなり世間の人々がゾンビ化している、自分も噛まれたのだが理性や知性をなくす前に、大ファンの物語の結末を読みたいがために、やむにやまれず訪れた。夢見がちちゃん、虚弱体質のかまってちゃん、逆境のなか強くいきる母親、とことん男らしいのに純粋な乙女体質、と次々現れるファンは、最終巻が締め切りを大幅に過ぎているのに一文字も書けていないことに絶望しつつも、必死で理性をたもち、脅し、なだめすかしてなんとか最終話を書かせようと部屋に軟禁する。

部屋の外は「滅びそうな世界」、書けない作家を物語を求めるファンが軟禁という構図。作家の書けない節という話は数あれど、ぶっとんだ設定でほんとならコミカルに突っ走り逃げきり、終幕のちょっと不思議な余韻を楽しむという感じなのでしょう。ここからの謎解きが見たいという気もします。が、ゾンビ、というSFな設定をもってしても、現実の惨事の余韻のなかにいるアタシには、笑ってみているのに、物語に没頭できない何かがじゃまをします。現実に直接リンクするような台詞はない(注意深く手直ししているのかもしれない)けれど、意識しないでみるのは、アタシにはちょっと無理があります。そういう意味ではアタシが現実に引きずられる観客である以上タイミングの不幸というのを感じずにはおれません。

直接の知り合いではないけれど、blogなどを通じて感じる作家・飯島早苗(にアタシにはみえる)がそこかしこに顔を見せる感じなのがおもしろい。 劇中の作家の書けないままに傍目には遊んでいるようにしかみえない、というあたりだったり、 作家がおもしろくないと感じてしまったがためにまったく頭の中で動かなくなってしまった物語だったり。あるいはファンの人々、乙女がちも男らしさもきっぱりとした強さもどこかに作家の姿が見え隠れします。

作家を演じた瀧川英次はだめ人間一人語りの序盤から巻き込まれ型だったり一途さだったりとしっかりと。和田ひろこのクールビューティーというのは意外に見ない気がしますが、なかなかにしっくりと。

ネタバレかも。

シリーズ中最高傑作の原稿を前にした作家の終幕の行動はアタシの気持ちにすとんとはまる感じがします。何かを作ったとしても、それは読み手などの受け取る人がいて初めて作品なのだ、ということ。 当日パンフの挨拶「どんな手段で観客が来たかは判らないけれど、感謝」という言葉(の趣旨)ににじむ「作品を観客に手渡せること」の喜びというのか切実さというかは、なるほどそんな物語を支えています。

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