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2011.03.08

速報→「サザンカの見える窓のある部屋」カムヰヤッセン

2011.3.6 18:30

カムヰヤッセンの番外公演、劇団員の役者5人だけでがっつり80分。6日まで「楽園」。

東京から夫婦が訪れる。迎えた家には研究者の男とその息子、家政婦。男は「チップ」開発の第一人者。脳に入ってきた記憶を埋め込んだ記憶媒体に蓄積する技術を、自らの脳にも、息子の脳にも埋め込んで実験をしている。限りのある記憶媒体なので時々外部にバックアップする必要がある。訪れた男もまた研究者で、そのチップに書き込まれた記録をたどって「失われた記録」を取り戻そうとしているが、その目的は隠している。
が、親子両方の記録を嘘をついてまで手に入れたことがわかり、訪れた夫妻は目的を話すしかなくなり。

体に埋め込む「チップ」に記憶を記録する、というSF風味の設定、記録が改竄されてしまったという事件の仕立て。現実にはまだ生きている妻(母親)を死んだものとしていたり、居たはずの家族がないことになっていたり。「記憶のゴミ」と呼んでいる周辺記憶の断片からなくなった記憶がよみがえる、というのはSFに限らずわりと実感できる感じなのも説得力を感じさせるひとつなのかもしれません。

記憶の回復、という感動のシーンを見せる演出上の効果は物理的にビックリさせる、というごくシンプルな手法だけれど、目が覚めるようなインパクトを与えていて、ちょっと巧い感じがします。

作演を兼ねる北川大輔は役者としてみた場合には発声などがかならずしも良くはないけれど、父親とか研究者という落ち着きに説得力があるのは今作でも健在で、役者としても好きです。遠藤友香里は少々コミカルさがちょっと意外な感じもするけれど、包むような「相談を受けるシーン」のしっとりはちょっといい。甘粕阿紗子はもまた、別の視点で男を包み込むよう。劇中語られる「おおきな中学生」というのは作家自身に向けられた言葉なのか、と思ったりもします。いや、勝手な想像ですが。

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