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2011.03.01

速報→「ホテルロンドン」国分寺大人倶楽部

2011.2.27 18:00

国分寺大人倶楽部の新作。支援会員セレクションという枠だそうです。27日まで王子小劇場。105分。

ラブホテルの三つの部屋。もう3日も逗留してひたすらセックスし続ける年上の女と学生らしい男。センセイと呼ばれる優しそうな男と若い女。あいてる部屋を自分の住処にしている女とアルバイトの男。近くでは札付きの男が殺された、という話で少し騒がしく。

劇場を2×3のブロックにし、客席と舞台を市松に配置。3つに分けられた舞台がラブホテルのそれぞれの部屋。どの席でも見やすい、というわけにはいかないけれど、客席が舞台にとけ込んでいる感じになっているのはうれしい。どの舞台に近い席かによっても印象は異なる気がします。

3日逗留の男女は、ひたすらに抱き合い、しりとりに興じ、時間をつぶします。訳ありの年上の女に溺れる若い男、ではあるけれど、ここに居つづけている理由は、女のひとことを発端にした終盤で明かされますが、じっさいのところ、その理由は重要ではなくて、そういう「溺れるように」居続けるというシチュエーションとその「気持ち」こそが描きたいことだと思うのです。全体に女のキャラクタを厚めに描いているのだけれど、このパートに限ると、その溺れる男の気持ちにこそあたしの気持ちは寄り添ってしまうのです。終幕のオチは、まあ男ってのはねえ、と、これも身に染みる。

センセイと若い女の部屋。誕生日だという客の電話にケーキを買ってきたり無料でマッサージしたりというやたらにアットホームなある種のいい加減さが、ラブホテルという場所だけれどその暖かさみたいなものが見え隠れするのが楽しい。センセイの秘密とそれでも包み込むような若い女という構図は印象的ですが、そこから派生する結末は余りに悲しいけれど、その抱擁が素敵。

住んでしまっている女は惚れた男がイギリスに行っているのだと信じきっていて、彼の「一時帰国」の結婚という言葉に簡単に乗って金を渡してしまう、というのはステロタイプな描き方だけれど、女の純情、その裏を知ってしまったのに、女に真実を話すことできない友人の男の純情もまた切なさすら感じるのです。

物語のうねりだったり、大きな感情や感動の動きのようなものというよりは、そういうシチュエーションでの細かな気持ちのゆらぎを描くことに作家の視線は向いている気がします。ラブホテルという設定で、下着姿の女優たちを観る眼福はさておいても、その過激そうに見える舞台設定は、裸であること、パーソナルな空間であることゆえの「裸の気持ち」が、その「ゆらぎ」さえもあからさまになる、という装置として機能させているラブホテルという場所の使い方は印象に残るのです。

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