速報→「Nf3 Nf6」パラドックス定数
2011.3.26 15:00
パラドックス定数の二人芝居を改訂再演。27日までアートコンプレックスセンター。舞台には椅子がありますが、むしろチェス盤で向かい合うシーンの方が多いので、そちらを中心に。100分。
捕虜収容所の一室。目隠しされた捕虜らしき男と軍服の男。銃殺されるところを危うく助け出してつれてくる。一局、二局。チェスを指すふたりはかつて数学者として共同で論文を書いたこともあった。軍服の男は暗号を解読され自軍が劣勢になってきていることに焦っている。捕虜の男が、その暗号解読に関わっているのではないかとおもって探し出したのだ。
パラドックス定数の初演では壁一面を黒板とみせての演出が印象的でした。サンモールスタジオ主催の再演にも黒板がありました。今回はすこし演出を変えて、チェス盤と紙に書いた数式という体裁。彼らの話では珍しく、ウエットに兄弟などの想いをからめた感じなのだけれど、それを初演よりもさらにウエットにしたかんじがします。
小さな盤の上で行われるさまざまの戦い。上演台本に棋譜はあるようですが、芝居としてはほとんどその盤上野出来事は語られません。でも、二人の間に流れるある種の熱気と緊張感が存分に。
わかりあう空気、向かい合ってはいなかったけれど、一つの美しい「暗号」の向こう側に相手の姿を見つけていたふたり。決定的に悪くなっている状況は互いにわかってはいるのだけれど、それでもやはり離れたくない気持ち、お互いの立場のはっきりとした溝。
期せずして夜の「国民の映画」と同じ時代の話。規模感の圧倒的な差はあるけれど、史実の隙間に作家の豊かな想像力を紛れ込ませる、という点ではこちらのほうがむしろお家芸。緊張感持たせたまま走りきるということのすごさも感じさせるのです。
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