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2011.03.20

速報→「劣る人」elePHANTMoon

2011.3.19 19:30

elePHANTMoonの新作、初日の変更を乗り越えて90分。23日までサンモールスタジオ。

駅前の再開発からははずれてしまったカラオケ、カウンタ、テーブルのあるスナック。ママ、売れっ子、若い娘、慣れない娘。男二人の客、普段着で訪れる依存症気味の妻、その夫、入れあげる中年、酒屋、タクシー運転手。狭い街の中で色恋。

同じ劇場の一つ前の公演は一日も公演を打たずに中止、今作も初日をずらして、という非常事態。避難場所や劇場の安心感をきちんと説明するというのは、しばらくどこの劇場でも続くと思うけれど、小さな劇場ほどこういう情報は確かに安心に。

なるほど、友人たちの好評がうなずける、さまざまな立場にリーチする構成。スナックで起こる恋物語、依存、嫉妬、片想い、金のこと、一途さ。群像劇のようにさまざまにスケッチしていく感じの運び。どこで集約していくのだろうとは思いつつ、それぞれのダイアログ、役者がそれぞれきっちりと説得力を持って立ち上がります。

こんな美人揃いの場末スナックはどこにあるのですか、という(オヤジ的な)楽しさ。見目麗しく、華やぐという眼福。瀬戸山美咲を役者として観るのは初めてな気がしますが、なかなかどうしてな説得力。終幕近く、永山智啓との二人きりの会話の圧倒的な密度、その数分間の観客にたいする開示の仕方の鮮やかさはもちろん作家手柄だけれど、役者二人が演じることて圧巻で今作のアタシにとってのベストシーン。

ふつうの会話をする芝居を初めて観た気がする二階堂瞳子、早くあがりたくてママに許可を求めるシーンが好きです。川嵜美栄子は身体の大きさと不器用さが若さに、主婦を演じる重実百合は他では観られないような微妙に病んでいる感じにみえるのが、それぞれに説得力があるのです。あるいは江ばら大介がみせる貸し借りの解決のあまりのかっこよさ。保田泰志の演じる入れあげた男がアタシにとってはむしろ近い感じで、明日は我が身の戦慄なのです(笑い事じゃない)。

ネタバレかも。

恋人たち、夫婦と浮気と片思いの話をつなげた点描の濃密さだけで押し切るとおもいきや、「この場所を変えない」という終幕で「戻る」のはファンタジーです。ロマンチックで寄り添いたいものがたりをなのです。

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