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2011.02.06

速報→「雨と猫といくつかの嘘.」青☆組

2011.2.5 19:30

「100万回生きたねこ」をモチーフにした作家の想いの深い2008年上演作品の再演。70分。8日までアトリエ春風舎。

一人で暮らしている初老の男。ひとりカップラーメンをすすすっていると玄関でノックの音。そこには母と名乗る女がたっている。数日後、娘と恋人が結婚の報告に訪れる。男の子供の頃の母親の風景、たまに居る父親の風景。あるいは男の家族の風景。息子が暮らしている家には同居人が居て。

情けない話しだけれど、本作に限らず芝居の記憶というのがびっくりするぐらいに覚えていないアタシです。観ながらリアルタイムで思い出していく感じ。台詞も美術も大きくは変えてないのだと思います。

シンプルに作られた舞台はほとんど初演と同じ。ゆったりと進むせりふ。一人の男を中心にして、初老の現在、子どもの頃、一家の大黒柱となる中年の時期と三つの世代を自在に行き来しながら描き出します。しかも中盤に至り、「お母さんは悪い人」とばかりにくるりとひっくり返るような視点の面白さなどがこのごく短い物語の中に満載なのです。 対峙する二人の女の緊張感がものすごい。今時ではたぶんあり得ない、でもどこかにあっただろう風景を紡ぐのです。

あるいは、さまざまに笑いをはさみながらもアタシの気持ちに深く沁みいる風景のかずかす。昭和の雰囲気一杯の家族の姿、あのカップラーメンをすする姿はアタシの未来にも見えるけれど、彼には家族が居るのだからアタシとは違って孤独じゃない、とは思うのだけど、むしろ誰かがいた暖かい時間を過ごしたからこその落差に寂しさなのだとも思うのです。

孤独だと感じていても、家族はそれぞれに暮らしていて。結婚の報告に訪れる娘と恋人の時間が長めなのは、作家の視点から見て一番近しい風景ということもあるかもしれません。アタシの実体験としてはないけれど、気遣いがうまくかみ合わないぎくしゃくする婚約者と男はステロタイプと言えるけれどほほえましく暖かい。

ビールのラベル、カフェラテを作る牛乳のパックなど、猫がらみの意匠に変えていくのはちょっとした遊び心。カップラーメンにまでそれを広げなかったのは、出てくるシーンの性質の違いもあって正しい気がします。

出オチに近い役所の林竜三はらしい感じ。リフレインされたシーンでの男気は少々レトロな感じではありますが、それがうまくはまります。福寿奈央の子ども、婚約した娘、訪ねてくる女という三つのステージをしっかりと。木下祐子演じる母親は物語の中心となるけれど、出しゃばらず、ずっと男を支えているような強い芯。辛いことがあっても心の強い女性の姿が美しい。

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