速報→「サンポジウム2011(A)」散歩道楽
2011.2.12 13:30
散歩道楽の集中公演「サンポジウム」の短編集。 劇団員ふたりの芝居を核に、ゲストを一名足しての三人芝居を六編を二話ずつにまとめて公演。 (A)パートは気楽に楽しめる計70分。20日まで「楽園」。
スイミングスクールの女子更衣室らしい部屋。そろそろレッスンが始まろうという時間なのに少し遅れて部屋を出ようとしていた女。もうひとり後からやってきた女は、不穏に脅すオーラをまきちらしながら、でていく女を押しとどめようとする。その女のねらいは「グラマラスなロージー」
弱小プロレス団体の試合後。ヒールの"デス・エンジェル"の二人が決め技の練習やら試合の反省をしている。二人は実は兄弟で、タイガーマスクにあこがれてプロレスラーになった弟は若い女性のファンがいないこんなヒールは嫌だといいはじめ、口論になる。そこに逃げるように女が飛び込んできて、ファンなのだという「とっても☆デスマッチ」
ネタバレかも
「グラマラス~」、ありそうでなかなかない「競泳水着」 姿ふたりの女の話。無邪気にかわいらしいひとりと、不穏なオーラをまとってからむ二人。好意の裏返しか何かの怨恨かわからないままに進む物語は、やがて若くイケメンのコーチをめぐる嫉妬が見えてきます。が、男をめぐる女二人のいがみ合い、というありがちな三面記事のような物語に落とし込まず、無邪気に見えた女の考えている、恋と結婚をめぐる考え方でぽんと飛躍した視点が後半にでてくることでぐんと広がる奥行きが楽しい。鉄炮塚雅よの、醜くはないけれど、競泳の選手には見えないある種「鍛えられてるように見えない」肉体が妙に色っぽかったりもするけれど、町のスイミングスクールという設定によくあっています。
「~デスマッチ」は、役者としては滅多にでてこなくて、しかもプロレス愛にあふれる作家・太田善也と、体は大きいけれど優しそうに見えすぎてプロレスラーに見えない植木まなぶという取り合わせに、情けない男たちの憧れるプロレスという構図が、プロレスに詳しくないアタシでも楽しめる一本。八百長にゆれる大相撲の一歩も二歩も先の(まあそれが先に行ってるかどうかは別にしても)「演出された興行」が前提の中で、ヒールたちのおかれた立場という構図が印象に残ります。二木咲子演じる後から飛び込んでくる女もなぞめいた中からファンだという気持ちが見えてくる終盤、そこからすとんと落とす終幕のテンポの良さがすてき。自分を子供のころいじめていたクラスの人気者をリングのベビーフェイスに置き換えるというあたりがとても好きです。素人目にもダメダメなプロレスラー、ヒールなのにとってもいい人で嘘でもいいから「殺すぞ」みたいに扇動する言葉を吐けないいい人感がいっぱいの植木まなぶ。怪しさ感はすくないけれど、物語をがっつりひっぱる「わたしたちの視点」を支える太田善也を役者としてみられる幸せ。
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