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2011.01.23

速報→「エモーショナルレイバー」ミナモザ

2011.1.22 19:30

ミナモザが一年半まえに上演したものの再演。より多くの人の目に触れるシアタートラムの企画に乗ったのは嬉しいのです。100分。23日まで。

マンションの一室。振り込め詐欺のかけ子たちの「職場」。男ばかりのこの場所に一人認められた、女を捨てた女。そこにもう一人女が連れられてきて。

ざわざわと騒がしい男たち。この「店」の売り上げに血眼になる店長、金のためと割り切った男たちの「感情労働」。感情を切り売りしているがために、割り切ったはずなのに、あっさりと崩れたり、あるいはそれまでだめだと思われていた人が頂点に立ったりのさまざま。振り込め詐欺の現場というのは、初演からこれだけ時間が経って、事件自体だって減っていないのに芝居として成立させているのはほかに例がなくて、今の時点にあわせていくつかのネタを仕込みながらも、骨子が変わらないままできちんと成立できるのは物語のちから。

物語で全体を包むのは、母親という視点でみた男たち。なるほど犯罪の現場でのいざこざも、変わらず日常に戻る男たちにこんなにポップな音楽をあてるのも、「自分のおなかの中で起きている」物語なのだというと腑に落ちるのです。装置じたいも胎内を思わせる枠と、その外側に戦争と、胎内から出ていく突破口なのか外からの光なのか、という二重のプロセニアムなのは空間をきっちり埋めるという意味でも物語に強くコミットしているという意味でも印象的です。

だし子グループのリーダーを演じた中田顕史郎は怪しさ満点で舞台の中心にいるのに物語を支えます。「あばずれ女」を演じたハマカワフミエは初演の名嘉友美とは違うベクトルに仕上げて成功しています。ケイを演じた井上カオリはびっくりするぐらい初演の木村キリコに似せているような印象ですが、より自閉感の強い方向へ。

ネタバレかも

、片方は産むが育てることには興味が無く、もう一方は熱烈に子どもが欲しいけれど、彼氏も出来なくて希望が見いだせない、という対照的な女ふたりの着地点は現実にここに「現れた」、「子ども」を介してつながります。アタシの友人がいう「終盤までの流れから唐突に着地する」印象の物語は、もしかしたら作劇という技術の面から見るとあんまり上手じゃないのかもしれません。が、「意図しない妊娠」はまさにそれまでの流れとは(本当は原因はあるのだけれど)関係なく、突然目の前に現れるわけで、それをどこかで意識せずにおられない女性たちにとってはそれほど違和感なく受け入れられるのかな、と思ったりします。

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