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2011.01.31

速報→「水底の静観者」猫の会

2011.1.29 15:00

猫の会の新作。サマカトの澤唯を演出に迎えての90分。31日まで「劇」小劇場。

すでに営業していない古い旅館に住む男。この旅館の客だった有名な作家を祖父に持ち、彼自身も作家になりたいと考えているが芽が出ない。その旅館をつぶして町の再開発のための道路をつくろうという話が持ち上がっている。

古い旅館の広間らしい部屋を舞台に。文章で名をなした祖父とその束縛からなかなか逃れられない孫たち。四人兄弟の一人が真っ先に名をなすけれど、この家の現在の主たる主人公の男は、働くでもなく、書きつづけてはいるけれど、ものになる感じがしない。書きたいものはあって、その衝動もあって、繰り返し形にはしているけれど、才能というものは努力だけではどうにもならないところもあって、かといってほかにできることもない、という絶望に近い感じ。

どうにもならないと感じ続けている中での連続飲酒というのはわかりやすいアルコール依存の姿。本当の依存という姿からは少々リアリティがないけれど、朴訥とした雰囲気で静かで優しさにあふれる風体の佐藤達が演じるとまたいい味があるのです。もっとも、作家はアルコールが好きなんだろうなということは薄々感じていて、その酒飲み視点での雰囲気はあたしの気持ちにどこかマッチしたりして、明日は我が身と自戒して。

ずかずかと上がり込み、遠慮のない物言いをする編集者は、この物語の中ではかき回す意味でも、正論をプロットしていくうえでも重要なやくどころ。演じた力武修一は、終盤に至っては笑いすらとってしまう力技が冴えていて、強い印象を残します。

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