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2010.12.20

速報→「The Lifemaker」DART's

2010.12.18 14:00

緊張感あふれる120分。DART'sの新作。19日までギャラリールデコ5。

業績好調なIT企業の実験的プロジェクト、集められた参加者たちは開始から10年間の拘束で予算をもち人口もしくは所持金の目標達成によって成功報酬が支払われる。どこだかわからないこの土地で経済活動を回すことを目指す参加者たち。

ネタバレかも

オンラインゲームの出来事を明らかにせずに見せる前半。オンラインゲームなのだということがあかされる後半以降こそが物語の主題なのだろうけど、それなしでは感想にならない感じ。なので、ネタバレの方へ。

テーブルを囲む8人、アシスタントとなのる1人を足した9名。中央にレゴブロックで作られたフィールドは迫力があって、ちょっとおもしろい。ゲーム世界がゲーム世界のまま進む、少々ほのぼのとした前半は、物語の起伏としては少ないのだけれど、このレゴブロック上でキャラクタを動かすというアイディアは物量の迫力もあって、おっと思わせる確かな効果があります。

街を作り経済活動を回すという10年間を設定したオンラインゲーム。そのゲームの中でおこる殺人事件が現実に波及、という枠組み。もっとクライムサスペンス調だった前作 (1, 2)に比べると、オンラインゲームのパラメータをハックして最強キャラだとか、リアルの生活とは違うネット上の人格だったりと虚構と現実との構造そのものを語ることに主眼があって、どうしてゲームでのキャラクタの死亡が現実の死につながるか、という謎解きの部分はごくごくあっさりで、サスペンスという面はずいぶん薄めにしている印象があります。反面、 殺人を犯す人物を二人設定し、全作から続く小説上の登場人物との対決という三極の構図になったり、オンラインと小説という構造にしてみたりと、少しばかり複雑になってはいるのだけれど、物語の緊迫感という点では削がれる印象があります。

ゲームでの「死」が現実世界での死につながるというのは前回公演で見せた方法をそのまま引っ張った感じ。ただし、前作ではどちらもわりとあっさり目にみせていたのに比べると、現実世界での死にざまは少々演技にすぎる感じになってしまうのは、終幕の説明があるとはいえ少々違和感の感じ。現実の渋谷という街を感じさせた前作に比べるとどこかふわふわとした感じ。レゴブロックは効果的だし、物語そのものがそういうもの、なので致し方ないのだけれど、一種の怖さとして迫ってくるかというとそれは前作に及ばない気がするのです。

とはいえ、120分密度の高い会話を至近で見せるという迫力は前作譲り。役者も達者でレゴブロックの演出とあわせて芝居らしい仕上がりという感じ。

辻修をシリアスめに使うのは珍しくて印象に残ります。片桐はずきのどこかさめたような声は冷徹なゲームのアナウンスという感じでよくあっています。菊池明香は序盤のツンデレ風が可愛らしい。

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