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2010.12.27

速報→「女優(おんなやさしい)」ろりえ

2010.12.26 18:30

小劇場で休憩ありとはいえ170分。装置もびっくり。26日までシアターグリーンBox in Box。

女子ばかりの海辺の中学校でたった7人の男子生徒、綱引き部だが、練習場所を確保できずメンバーの一人の家で練習をする。エースだった友達をなくし、新しいエースを迎え、三年目の夏合宿で盛り上がる6月。が、その家の妹をメンバーたちが。

物語は大きく二つ、前半7割を引きこもる兄の語り、後半2割9分9厘は優しい妹視点の語り。残り1厘はカーテンコールのあとの幸せの予兆に。場面は大きく中学時代と10年経ったあとの変わらない人々というシーンになっていて、物語とシーンを組み合わせて進むのです。

それにしても身勝手な男たち、それを女性にはあくまで包容力で包み込んで欲しい、という気持ちはアタシだって男だからわからないでもないけれど、実に男の身勝手な視線。 ラッパ屋もある種の身勝手なファンタジーだったけれど、女性にもしっかり人格が描きこまれていたと思うのです。が、本作、女神のように美しくどこまでも優しい女性に男どもが何をしても、というのは 女性はどういう気持ちでこれを観ているのだろう、というのは聞いてみたい気もするのです。

上演時間の長さは理由があって、物語とは関係ないけれど、たとえば序盤の「綱を忘れた人探し」とかという無駄に思えるものを切り落とさず、あの日々をダイジェストしつつも日常感として描いていると思うのです。が、正直90分ぐらいで観たいな、とおもうのも事実なのですが、達者な役者をそろえていることもあって、小ネタ的な小さなシーンがいちいちたのしいのです。

横スクロール、わりとサイド側でみていると、廊下を複数のブロックにキャスターという装置の作り方で見事。維新派かと見まがうばかり。終盤、途中であるはずの玄関の外がなくなって寝室に繋がるというのも効果的に働くし、臍の緒を引っ張るという綱引きのシーンも見事に機能して、ダイナミックな感じ。終幕、ほぼカーテンコールで全部なくなって奥に広がるというのもきちんと効果を持ちます。

正直にいって、物語の密度に対して上演の時間が長いというのはあまり好きなことではありません。休みで時間に余裕があるから、さまざまな遊び、役者の魅力を楽しむ気持ちのゆとりがあるときに観たことが、今作にプラスに働いていると思うのです。これが普段の週末だったらここまで鷹揚なきもちで観られたかどうか、というのはアタシの個人的な事情ですが。

開場時間含め3時間近くでずっぱり、終始抑えつつしっかりした力で舞台を支える堀越涼。脚本の描く通りに人格をある種封印してミューズであり続ける梅舟惟永。思い続ける一途さを背負う高木健。終幕のスペクタクルを一気に走りきる安藤理樹。主にコミカルパートであっても、舞台の全体のリズムを刻み続ける尾倉ケント。その相手となって二回のやりとりが楽しい徳橋みのり。

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