速報→「オンナの平和」あおきりみかん
2010.12.12 17:00
前回公演の戯曲が劇作家協会の新人戯曲賞を受賞した鹿目由紀のあおきりみかんの新作。名古屋公演を経てシアターグリーン Box in Box。105分+ごく短いコントつき。12日まで。
道の真ん中で「モテたいんです、ハーレム作りたいんです」と叫ぶ女。まわりを歩く人々は気にも留めないが、どうして、と理由を聞いてきた男がいた。モテる人々をつかまえては、モテを会得しようとしていく。
ほぼ素舞台。会場時間から舞台を横切るように多くの役者。舞台奥には何種類かの大きさのフレーム。椅子にもテーブルにも部屋にも通路にもさまざまに変幻自在。モテと女と平和と、という結論の出なさそうな命題を、さまざまに切り取り、悩み、提示しながら、このフレームをさまざまに使って魅せる様はどこかフィジカルで、見た目にも美しくてちょっと不思議な仕上がりになっています。
アタシがあおきりみかんという劇団が好きなのは、語られる人々の強気も弱気も美人も不美人も可愛らしさも、どこか作家・鹿目由紀の分身にみえる、と勝手に思いこんでいるからにほかなりません。モテというものに少々底意地わるく語る(モテ5原則-女ウケのいいファッションは男にモテない、メイクも同じ、同じことを何回聞いても初めて聞いたフリができる、など)あたり、あるいは美人は必ずしもモテないとか、地味で素朴に見える彼女こそが一番モテるなんてのも、よく語られることな気もしますが、作家の語り口がみえるようで楽しいのです。
世界の平和とモテ、という無茶ぶりな世界の構築なのだけど、そこに男たちのやってることは戦争なのだ、という補助線を引いてだまされるように納得感が持たせられるのはあれよあれよという感じで楽しい。
間に二カ所挟まれる、オフィスのシーンがちょっと好きです。静かに働いているオフィス、徐々に人が帰り、少なくなったのを見計らって(恋愛)相談を始めるとか、それほど仲良しじゃないけど一緒に帰ろうと声かけられてご飯を一緒に食べて、その同僚が惚れているらしい店員をみたり、コンビニで立ち読みしている気になる男がいたり。全体に騒々しいくてファンタジーな物語だけれど、ほんの一晩のわずかな(少なくともリアルに見える)出来事が、この騒々しい世界を支えているのだ、ということが感じ取れて引き込まれるのです。
大屋愉快は大変な体力で舞台を疾走し続けて元気をもらう感じ。気にしてしまう男を演じた松井真人、祝福し続ける男を演じたとみィはカッコいい。美人と自ら名乗る手嶋仁美は違わぬ美しさがさすが。
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