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2010.12.05

速報→「アラカルト2」

2010.12.4 18:30

去年の改装準備公演を経ての新装開店、「アラカルト2」のタイトルにふさわしく、これまでの香りも(スポンサーも)残しつつ、次の一章を飾る初日。26日まで青山円形劇場。有償のワインサービス付き休憩10分を挟んで170分。あたしの観た初日は、川平慈英をゲストに。

一人で訪れる女「マラスキーノ・チェリー〜マティーニ3杯の幸せ」
タカハシは後輩を連れて来た「クリスマスのレストランで彼女を攻略する方法〜あなたに今夜はワインを振りかけてプロポーズ」
ゲストを呼んでのトーク「おしゃべりなレストラン〜ワインは喋っているうちにおいしくなるらしい」
幼なじみの男女、恋人ではないけれど「フランス料理恋のレシピ小辞典〜恋と料理は見る目を変えたら味わい深くなる」
休憩を挟んで、
ショータイム(ギャルソンショー、タップなど)
老年にさしかかる男女、くだらない駆け引きもふくめて「シュー・ア・ラ・クレーム〜恋人たちの予感」
一人で訪れた女、相手は訪れない、店が閉店するそのときに「シルク・ストッキングス〜クリスマスの晩の予期せぬ出来事」

「〜プロポーズ」はどちらかというとタカハシというキャラクタを続けるための苦肉の策という気がしないでもありませんが、先輩と後輩という新たなフォーマットの発明が偉大。「フランス料理〜」はアドリブ感満載だけれど、毎日替えているとは思えないので、どこまでが作り込まれているのかなぁと思ったりするのも楽しい。「〜予感」は、「(今日のディナーに誘ってくれたのは、他の人に断られれて)三番目でしょ」ってあたり、男が釈明のように「上から三人じゃなくて、高嶺の花だから」みたいなこというのだけれど、あながち嘘って感じじゃない、という絶妙さが好き。独り者の女のオープニングとエンディングが少しばかりのハッピーエンドになるのは、クリスマスらしくて楽しい。

去年のプロトタイプに近い印象。それまでの出演者とがらりと変わった座組。今のところキャラクタに頼らず、気持ちだったり、その会話のある狭い場所の空気感を大切に抽出してぎゅっとした印象に。

もう一つ去年からのフォーマットの特色は、家族の物語がきれいにそぎ落とされて、すべての会話が恋か恋人の基本を持つ形に。大切な人と過ごす風景を全方位で取り込んできたこれまでと比べて、さまざまに織り込みつつもカップルたちの物語、という狭いところを探していく感じ。いままで以上に誰か大切な人と一緒に観たい、と思わせる感じだけれど、一人で噛みしめながら観てみるのもまたよし。もっとも舞台の方は軽快でコミカルで、楽しい!というだけで過ごせてしまう3時間。

たとえば、典子さんとの結婚生活を送るタカハシ、ゲストトークのマダムジュジュというキャラクタを残したり、恋人未満の男女の駆け引き、女一人、などこれまでのシリーズの残り香も残しています。それを知っていればより楽しいけれど、知らなくても大丈夫。

「 初日のゲストは川平慈英。スポンサーについての会話、パソコンなら富士通というところをソニーのバイオなんていってみたり、カビラ家はアメリカの親戚の家にいった夜、子供だった彼がトイレに起きると、なんて会話で盛り上げ、そのあとの芝居もアドリブ風に楽しく、もちろんショータイムの活躍。浴衣姿でのタップダンス、なんていう趣向も楽しい。

毎年変わらずそこにあることが価値の「定番ステージ」なのだけれど、去年からのフォーマットは、新しい世代のそれに文字通りリニューアルしつつも、まちがいなく「ア・ラ・カルト」のそれ。またこれが年月と物語をゆるやかに重ねていく端緒になるのだと思うと、やはり見続けて行きたいのです。

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