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2010.11.22

速報→「果実の門」乞局

2010.11.21 15:00

乞局の劇団創立10周年公演の第二弾、過去作品のキャラクターたちを詰め合わせて、新しい物語として構成する110分。23日までアゴラ劇場。前売りは完売しているようですが、当日券はそこそこに出ているようです。

その町には、他では居られなくなった秘密を抱えた人々が、余生を「弱火で過ごす」ためにやってきて静かに暮らしている。大きなもめ事は起こらないし、起きそうになると浮浪者たちがそれこそカラダを張って、暮らしを守るという。そのことに感謝する人々は引き替えに食べ物などをこっそり彼らに渡したりする。そんな町に一つの家族が引っ越してくる。家族から離れ一人でやってくる人の多いこの町では家族ぐるみというのは珍しい。元警官の夫は何かをやらかして、警官を続けられずここに来たのだが、秘密を抱えた多くの人々に疑念を抱き、自分の正義を貫こうとして、町の人々から疎まれて。

殊更に露悪的なものを散りばめた物語が多かった乞局なのだけど、気持ち悪い作風は残しつつも、家族を描くことが多くなってきた最近。人殺しから万引き、どうしようもない性癖や珍しい身体的特徴などをそれぞれにもつ、過去作品の「えぐい」キャラクタを集めていますが、そんな彼らが内面では陰鬱としながらも、少なくとも表面的には穏やかに暮らす町、という描き方。

新たにやってきた家族、この街がどん詰まり、居られなくなったらもう行く当てがないと考えて馴染もうと必死な妻や、若いなりに街に受け入れられ、若い女故に自身の危険が迫っているのにまだ無自覚な娘、このコミュニティでは警官という役割ではないのに、自分の過去の仕事をそのまま無理に続けようとして勝手な正義を振りかざし、上から目線で街に接しようとする夫、その軋轢を経て牙を抜かれてしまう姿。 あるいは家族以外でも、結婚できないままに屈折し、好意を寄せる男からは邪険にされ、自分に好意を寄せてきている男のことは無自覚に邪険にするという女など、さまざまに。

描きかたこそ癖がありますが、どこでもありそうな新参者とコミュニティの軋轢や危機をコンパクトに描き込んでいて、じつは明示的に描かれない、この街の人々の内部で起きていることが怖いな、と感じさせるのです。

早くも枯れる指向に行ってしまっていいのか、という気もしますが、これもまた「家族がいるゆえに支えられている」ということと「家族がいるゆえの苦悩」のようなもので、作家自身の今(現実はどうであれ、考えている)を描いてることとしてのある種のリアリティだよな、と想うのです。

序盤、浮浪者二人が日本語ではない何かの言葉(まあ、多分でたらめなのだけど)でこの街を説明するというシーンが圧巻。後半にで描かれる居酒屋のシーンも、そこまで積み上げてきたこの街の隠れたマグマが噴出しそうになる軋みが見えてきて楽しい。

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