速報→「ハロースクール、バイバイ」マームとジプシー
2010.11.27 14:00
マームとジプシーの新作。前売りは完売していますが、当日券でもぐり込みました。100分。28日までシアターグリーンBaseシアター。
かもめ中学校の女子バレー部。三年生が抜けて二年生に代替わりした6月。ちょうど一年前、一年生のとき転校生でやってきた「るな」とエースになった「しほ」、チームメイトたち、級友たち。合宿のあとのバレーボールの試合、不利なままの前半。でも頑張るチームメイトたち。
年に一度の転校続きで部活動にも、おそらくはクラスにもあまりなじめなかった転校生。半ば強引にさそわれ入ったバレー部、初めて教えてもらった、誘われてほんとに仲良くなった二人。この二人を枠組みにしながら、物語半ばで語られるように中学校の生活の日々がまるで水槽の中のグッピーのよう。そう多くない場面を断片を思い出として描き丁寧に積み重ねる前半が集約されるような場面がちょっとすごい感じ。
胃が弱くてトイレから出られないとか、運動音痴とか。中学の部活というある種、専門化していって分化する前の一瞬を切り取ったからこその、ミクスチャなさまざまゆえの人々。 初めてのマクドナルドの外国な感じ、不良の先輩のこと、部室で腐ったカツサンドとその犯人、教室掃除の時間、合宿の前の日のある種の高揚が中盤までもりあがるのです。アタシの友人がいう「チェル+王者館+ビューティフルドリーマー」というのはものすごく腑に落ちる感じ。そういう90分が実に濃密で。あるいは少々ほれっぽい感もある片思いな風景、消えゆく風景、近所の銭湯という家族とは切り離せない中学という時間で、それは切ないのです。
あるいはもう一つ感じるのは、成長していくために必要な過程。いわゆる体育会系部活動には無縁だったアタシは40歳過ぎてからわかったのだけれど、今作、 幼いなりに「プレーのために」がんばる集団マネジメントの萌芽。
合宿の二日目の朝に語られる、たったその一言だったり、見慣れた風景がなくなってしまうということだったり、片思いだったりという、切なさいっぱい、溢れるあの時間をパッケージしたような感覚。断片として繰り返し語られるというのも記憶で断片を思い出しているような感覚にとらわれるのです。「リピート芝居」が好きじゃないアタシですが、自分の波長にぴったり合うと、こんなにも楽しいのです。 この切なさの感覚は理解できるし好きなタイプの芝居なのは事実なのだけど、 何人もの観劇巧者の友人たちの大絶賛、たとえば手法のすごさというものは、あたしがチェルフィッチュのすごさを説明してもらうまで理解できなかったのとおなじように彼らの手法のすごさというのはじっさいのところ、まだ巧く説明できるような言葉になっていないのが、自分ではもどかしいのです。
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