速報→「20年目の正直」双数姉妹
2010.11.7 17:00
旗揚げから20周年、20年続けてきたことを二つの時代で見せるセルフポートレイトのような仕上がりは切ない。最近ではなかなか難しくなってきた現劇団員総出演がうれしい95分。13日までRED/THEATER。
徳川幕府の財宝を掘り当てようと、父親から受け継いだ古文書をもとに山梨の山奥で発掘調査を続ける人々。初めてから3年目、手がかりとなる木片の発掘でテレビ局の取材に沸く一同。大学を卒業しようという時期で、これを続けるべきなのかに迷いと軋みが生じてくる。それから17年目、まだ発掘を続けているがめざましい進展はない。かつての仲間で山を下りた女の娘が、親から匿ってほしいとここを訪れる。
20年続いた団体の3年目を若手が、20年目をベテラン勢が、という布陣に。同じ場所で転換することなく平行して進む物語や、なにをしている人々なのかなかなかわからない序盤は戸惑うものの、そのフォーマットがわかってしまえば激しい切り替わりも何のその。
物語自体は、劇団の話ではないけれど、大学卒業あたりで起こる出来事、果たして掘り進む先に成功があるのかどうかさえわからないまま進まなければならないことなど、彼らが通ってきた20年の厚みを感じさせるつくり。もっとも、ほんものの双数姉妹のほうは表現の形態をがらりと変えたり、メンバーも相当入れ替わっているわけで、今作の「一つに拘泥して何も変わらないまま埋没していく」彼らとはすこし状況は異なります。
この場所を維持していきたいという想い、そのためには手段を選ばない、というあたりの「木片」の使い方が巧い。じゃあ、劇団ってもののそれは、なんだろう、小さな成功がやめるタイミングを逸しさせるということかしらんと思ったり。若いときならいざしらず,20年経ったあとで梯子をはずされたときの足下のゆらぎ感は大げさだけれど、気持はよくわかる。
時代を隔てた二つの場面、同じ人物をつなぎあわせるためにことさらの特徴的なしぐさを共通に演じさせます。この演出家がそのような手でしかつなぎあわせることができないとは考えづらいので、ことさらに戯画的にして生臭さを消そうとしてる、というのは考えすぎかなと思ったり。 同じようなことは、時々唐突に現れる不自然な振りというか身体の動きにも感じます。内面を台詞ではなく身体表現としてやろうとしているのかな、なんてことをつらつらと考えたりもします。
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