速報→「ウラの目と銀杏の村」qui-co.
2010.10.10 14:00
qui-co.(キコ)の二回目公演は山村の人々と「鬼」の物語。115分。13日まで王子小劇場。
その山には鬼が棲むといわれている。鬼と目があった子供は一言もしゃべれなくなる。ボーイスカウトのリーダーの一団がキャンプの下見のため、大きなアスレチック公園を訪れるが、他の地域から招かれたスタッフには別の期待がかかる。果たして鬼たちと出会った彼らは、山から下りることができなくなってしまう。命からがら一人下山した男は、村役場で働く女のもとに駆け込む。
いわゆる里の人々と「鬼」を作り出した地域の歴史を背景にした物語。もちろんもともとは同じ人間が、どうして差別され、お互いに「いないこと」として共存していくに至ったかという話。そのきっかけとなった二十余年前の悲惨な出来事にそれを持ってくるのはいいことなのかどうかよくわからないけれど、彼らにとっては一種の天災ととらえる見方は少し新しい。今週丸かぶりの題材の芝居をやっているところがある、というのは誤算かもしれません。
物語としてとる題材は全く異なるけれど、物語の運びのリズム感、音楽と音圧、終盤に向けての駆け込む感じはひとまわりしてキャラメルボックスと同じような印象を受けます。それは一種の完成系でもあります。
まさかの八百屋舞台、そのなかで声を張り駆け回るのはこの年代の役者たちにとっては逆に新鮮なことかもしれません。どこか巫女めいた雰囲気を持つ堀川炎演じる町役場の女と、静かな表情にみえて感情が爆発する表情が印象的なサキヒナタ演じる鬼の二人のつながりの終盤。それ以外の人々の物語を作り込んでしまったために、ここにそれだけ場面を押し込まなくてもいいのに、という感じが少し残念。鬼を演じた清水那保の素朴に「出会いたい」という気持ちの吐露、あるいは同じ鬼を演じた、こいけけいこの「ともだち」に対するまっすぐな想いをきっちり。「ヨソモノ」を演じた如月萌も印象に残ります。
しかし、ボーイスカウトってのは男子のものだろうと思っていたあたしは古かった。あたしの子供の頃はそうだったのだけれど、いまは女子も受け入れているのね、なんてことを考えたりも。
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