速報→「性的敗北」シンクロ少女
2010.10.17 13:00
シンクロ少女の新作。90分。17日まで王子小劇場。
いくつかのカップル。いつまでも一緒にいたいという言葉を伝えあう。
仲むつまじく恋人のように暮らし続ける男女、子供のできない夫婦、ちょっと不思議ちゃんだけれど恋人ができるが、それを嫌ってひんぱんに呼び出したりする女友達。いい歳になったがバイトとセックスの日々の恋人。近所で最近評判の「うどんヤキソバ」の店へ。
ネタバレかも
不妊、近親相姦、格差、嫉妬の裏返しの性的誘惑。三つの舞台を四組余りの恋人たちの物語を、並立してみせます。舞台はごくシンプルに平台を並べただけ、ときどき並べ変えて変化を付けていきます。このシンプルさと、対面客席で挟んで観ることで、恋人たちの営みをのぞき観るような禁断な感じのドキドキ。
とはいえ、刺激の強そうな題材ではあっても、結局のところ「ずっと一緒にいたいこと」と「居られないという困難」いくつものピースから組み上げていくのは見事な感じ。三つの場所で並行して物語を進ませ、ときに言葉が重なるような見せ方は凝っているとは思うけれど、この想いをもっとシンプル観たいアタシには少々煩雑な感じを受けないこともありません。
女の子が好きな女の子が相手の男性の恋人に合い、誘惑し、寄った勢いでそれに乗ってしまう男、あるいはずっと一緒に住んでいた妹と別れ悲しみに暮れるところに訪れた兄夫婦の誘惑に乗ってしまう男、囲まれ追いつめられていく感じはあまりに哀しい。
あるいは、子供ができたことを知った男が友人たちに電話しまくって人生の終わりと触れ回るのは、言葉通りにとる絶望の見方もできましょうが、どこかに喜びを感じさせるような何かが潜んでいて、人物の厚みが見えてくるところが結構好きだったりもします。
日野早希子演じる純粋で少々不思議ちゃんな女の子はニュートラルな表情が、ナカゴーでは観られない等身大。こんな表情するんだ、というのぞき観るような背徳感も楽しい。
作演を兼ねる名嘉友美のダメカップル女の自然にみえる抑えた感じが印象に残ります。
寂しさと性的なものをあわせ持つのはたとえば国分寺大人倶楽部などとも似た感じはあるけれど、それが死だの薬物だのに向かわないのは、女性ゆえだからなのか、あるいは大人だから、なのか。悲しさや哀しさにまみれそうになっても、そこには先へ進もうとする希望と強さを感じさせるのです。
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