速報→「どうじょう」コマツ企画
2010.10.24 14:00
コマツ企画の二ヶ月連続上演の二ヶ月目。105分。31日までOFF OFFシアター。
新橋、古い雑居ビルの一室。結婚相談所の看板を抱えているが、登録した女性を顔写真とプロフィールと金額を書いたカタログで斡旋する風俗店舗。店員の男はながくとつめているがやる気があるようなないような。女はインストラクターだが次の仕事を見つけるまでの間のアルバイト。入り浸って常連になっているジジイ、オヤジたちや、登録に訪れる女性たちが入れ替わり立ち替わり。
ぶっちゃけていえば出会い喫茶のようなものだけれど、やる気の無い店員とわりと年齢の高い常連達ゆえにまったりと、ぎらぎらのない感じ。それでも風俗店という日常と非日常を金が結びつける現場。譲れない一線、妥協してしまうところがせめぎ合います。
意地悪いほどの人間観察眼。風俗店の常連のオヤジ、微妙に値切ったり、一万円で食事だけの女を無理にホテルに誘おうとするじいさん、傍観者でいつづける男、あるいはまっすぐに女を愛する男など、さまざまを愛おしさと馬鹿馬鹿しさが同居。一方の女性たちはといえば、作家の意地悪い視点はさらに厳しく、店とはつりあわないような美人なのになぜか登録するマドンナだったり、金が必要だと登録したものの、後から後から考え直しまくってしまう女だったり、この店の特定の客にどこかハマってしまった女、もっと違うなにかがある女など。
そこに店員の男の世間に期待しない感じ、この場所を守ることがいちばん重要だという体温の低さ感がすごく今どきのリアルな感じ。実直そうな女性店員が恋愛感情なんかじゃないのに常連のオヤジに親身になってしまうあまり感情が昂ぶってしまうのとの対比が見事。
めんどうくさそうな墨井鯨子の依存感、宍戸香那恵の気品と背徳な感じはありそうでなかなかないキャスティングで印象的。斎藤加奈子はこの店の中では無垢さすら感じさせる、丁寧に育てられたのだろうなと思わせ、きちんとマドンナで観客の視座を。小林タクシーをまっすぐな役で使うのは珍しいけれど、それでも漂う怪しさすら魅力に。終盤近くの小松美睦瑠は飛び道具にすぎますが圧巻。
思っている通りに表情に出なくなるという「大人の(多分女性の)」癖の話や、あるいは「女はイルカなんだ、頭のいいほ乳類なんだけど、喰ってるからどこかみんな見下してるんだ」なんてのはすごく見事で、イルカを食べるということの問題をこんなにもあっさりときちんと物語に取り込んでいます。こっちがほんとにTHE COBE劇場版なんじゃないかと思わせる凄みがあります。
| 固定リンク
「演劇・芝居」カテゴリの記事
- 【芝居】「朝日のような夕日をつれて 2024」サードステージ(2024.09.08)
- 【芝居】「雑種 小夜の月」あやめ十八番(2024.09.01)
- 【芝居】「ミセスフィクションズのファッションウイーク」Mrs.fictions(2024.08.30)
- 【芝居】「氷は溶けるのか、解けるのか」螺旋階段(2024.08.27)
- 【芝居】「BIRTHDAY」本多劇場グループ(2024.08.20)
コメント