速報→「バベルの塔」れんげでごはんP
2010.10.16 19:00
松本の劇団、「れんげでごはん」のプロデュース公演、宗基の一人芝居。65分。17日まで。
ある国の中心にそびえるバベルという名前の塔。そこに居住するためには厳しい試験をくぐり抜け、厳密に階層が決められたフロアを上に上がるにも選抜を受けなければならない。塔と同じ名前の田舎に住む絵描きの青年も友人ととも試験に合格し、住むようになるが、なかなかはいあがるきっかけがつかめない。工業を志す友人はやがて「塔の未来を考える会」に出入りするようになり、昔からのあこがれだった飛行機の訓練を受けるために塔を一時離れることになる。
伝説といわれるバベルの名を引きながら、七階建ての巨大建造物ということ以外には創作の体裁。立身出世の希望に満ちた日々と、挫折、そこにつけいる急進的な思想の人々とそれに巻き込まれる若者の物語をぎゅっとコンパクトに一人芝居に。主人公の絵描きがほとんどを占め、友人などを含め四人が役として登場します。シンプルに作られた舞台や衣装の転換など、物語というのはごくごくシンプルに見せるのもいい味だよな、と思わせるのです。
正直に言えば、二つの世界大戦の後という設定の割に飛行機が「あこがれ」のレベルだったり、塔の建設があまりに手作業に頼りすぎていたりなど、物語の設定で違和感を感じさせてしまうのは少々残念。すでにある伝説と同じ名前と、時代を特定して描いてしまわないほうが素直に見られたな、という感じがします。
「れんげでごはん」は松本に引っ越すにあたってネットで探しただけの情報で、あたしがもっとも見たかった劇団なのです。本公演がどうかということはなかなかわからないけれど、サイトの作りだったり劇団のトレードマークというかアイコンがつくられていたりと、全体に丁寧に劇団として成立させている感も。実際には劇場前には劇団のフラッグが張り出され、当日パンフも見やすくて、席に置かれた携帯電話・飲食禁止の説明文のセンスもよく、劇場を出るときには劇団アイコン付きのストラップが貰えたりと実に充実。もちろん、たとえば東京でもその手の周辺が充実してもダメな劇団てのはあるわけですが、芝居を見るってことの敷居が相対的に高い地方都市では、こういうところの充実こそがまずは必要なもののひとつだと思うのです。
物語への違和感はあっても、シンプルな想いをシンプルに伝えるコンパクトな物語と、それをきちんと出しゃばらずに伝え、ロビーをささえる雰囲気も含めたスタッフワークもきっちり。ああ、また観たいなとおもわせるのです。
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