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2010.10.25

速報→「激流としるし」play unit-fullfull

2010.10.24 17:00

フルフルの新作。105分。24日までせんがわ劇場。

父親は著名な陶芸家でその死後、にぎやかだった工房は娘が継いでいる。新人賞で若くしてデビューしたものの、作品はなかなか売れない。工房に引っ込んだまま、表には出たくないと考えている。ここに出入りするのは、力をどんどんつけている若い女性の弟子、父親の弟子だった男はバイヤーとして表と唯一の窓口になっている。
女の叔母は金を貸したりしてここを支えているが、元アイドルの俳優に入れあげている。ある日、この広い洋館に、俳優がお忍びで休みに来るという。

とりあえずは安心できるこの場所、守りたいというよりは、ここから踏み出したくないという、臆病に起因する「引きこもり感」を描かせると巧い作家。それをいわゆる引きこもりとして描くのではなく、

ファンの女二人をちょっとすごい感じで描きます。暴走するファン、それを押さえるように引き気味で寵愛を受けて豹変する女、この対比もちょっとすごい。

才能がないわけじゃないけれど、いまひとつ大売れというわけには行かない作家と俳優、その弟子を相似の軸にした構造。アーティストというフォーマットで描いているがために、よくある作家の泣き言っぽく感じるけれど、それよりはもっと内側、引いた枠の外に一歩踏み出せない感をよりつよく描きます。あるいは、今はまわりににぎやかに人がいるけれど、きっとみんなはここから去ってしまうという諦観と恐れが静かに、しかし物語全体を貫くのです。

広瀬喜美子はその臆病さと頑固さで物語を貫きます。あくまでもやさしい男を演じる堀文明は物語をやわらかな空気にしっかり。小山待子の終幕近くでの師匠への決別の表情がすごい。遠藤友美賀はオバさん感満載を一手に引き受けるけれど、今作では重要。迷惑な暴走ファンを演じた大西玲子は暴走の痛さと、陰に回ってからのちょっと凄みすらある表情のコントラストが印象に残ります。「大女優」というざっくりすぎるといえばそうだけれど、そのアイコンをきっち背負う境宏子、強い上昇志向を体現して説得力。

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