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2010.09.05

速報→「Sea on a Spoon」こゆび侍

2010.9.4 19:30

こゆび侍の新作、なめくじをモチーフにしつつがっつり社会派のテイスト。115分。5日まで王子小劇場。

「すくいびと」になりたかった少女は、村人を連れて海へ。村人は一瞬で消えてしまった。そう証言して一人生き残った少女は、20年後、町役場で静かに、まじめに働いている。ここには原発があって、そこに暮らしている人は徐々に減っていて。エコフェス、と名付けたイベントで大量の観客を呼ぼうと沸き立つ町の中で、静かに計画が進行していた。

冒頭に語られる一瞬で消え去る人々の話、そこに一人残ったという少女のオカルトめいた、あるいはカルトめいた不思議な立場を長い時間軸での大枠に据えます。 そこに、現在のこととして、地元の人々がどうにかしたいと思っているもの。今作では原発と地域の問題をあてはめ、物語の骨格を作り出します。

正直にいえば、これをそれこそ原発のある現場で上演できるのか、みたいな意味でモチーフにすることによるリスクも観客の感じ取り方の差に対しても覚悟が足りてない気がしないでもありません。物語の後味はどんよりと残ります。アタシが好きな種類の芝居ではないのだけれど、それでも芝居を観て物語を浴びる感覚、着地点が何処に行くのだろうという物語に身を委ねていく感じが存分に味わえるという意味で、芝居を観ることを本当に楽しめる一本なのです。

たとえば在留米軍みたいなものもあるけれど、このリスクの高い題材をあえて使ってでも使ってでも語りたいのは、「一瞬で消える」ということなんだろうと思うのです。少女が一人残ったということの実際の事件がどうだったかは、殺したのだろう、という感じにはなっているものの、明確には語られません。終盤もあわせたこの一点をファンタジーとして突破するには全体にリアルにきっちり作り込まれて

原発職員の一人を演じた飯田一期は、どっしりとした存在感と説得力のある声が魅力。垣間見せる悪戯っぽい表情や女性に骨抜きにされるあたりの表情の豊かさは人間を感じさせて印象に残ります。 役場の職員を演じた佐伯佳奈杷はダークさと男を骨抜きにしてしまうような危ない魅力にきちんと説得力。そりゃこうなるよなぁ、とオヤジ心一杯なアタシ。 堀奈津美はクールビューティな魅力を存分に。佐藤みゆきは全体には抑えた地味に見せる役柄ながらも存在をしっかりと。 ネタバレ

佐藤みゆき演じる宇見、この町を救いたい、という明確な意志。彼女は果たして救うけれどそこから一転、スケープゴートにする人々、それを受け入れる彼女というあたりの、意地悪な視線は作家の魅力。 まあこれが後味の渋さに繋がるわけで、面白かったっ!と言いづらいところが痛し痒しなのですが。

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コメント

御観劇ありがとうございました!
こゆび侍佐藤みゆきです。
有り難く、ご感想、拝見しました。
これからもこゆび侍精進致します。
また劇場でお会い出来ます事をとても楽しみにしております。ありがとうございました。
佐藤みゆき拝

投稿: 佐藤みゆき | 2010.09.08 14:28

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