速報→「砂と兵隊」青年団
2010.9.20 14:00
5年ぶり、青年団にはちょっと珍しいタイプの不条理っぽさを漂わせる一本。6日までアゴラ劇場。フランス語上演もあります。110分。
どこかの砂漠の中を行軍する兵士たち。同じ砂漠には、居なくなった妻を捜してたどり着いた夫や娘たち、新婚旅行のオプショナルツアーの夫婦、派兵されている夫を訪ねているワンピースに日傘の妻などがいて。
ゲリラのような少人数の敵は居ても、民間人が普通にいてしまうような武力衝突のみられない地域だというのに、おそらくは意味がない匍匐前進。なるほど自衛隊派兵のさなかにかかれただけあって、そのあたりはぴりっと。 何のためにどこに向かっているのかわからないまま行軍を続ける兵士たちには悲壮感はなくて、しかしたとえ民間人、しかも日本人が殺されたとしても変わらず行軍のみを続けます。ゴドーを待っていた二人はその場所から離れられない物語だけれど、これは砂漠というどこまで行っても変わらない風景の中で、前進だけを続けるという別のスタイルのゴドー待ち。
石橋亜希子が開幕直後に見せる、水を口に含むときの脱力した表情が絶品。いろんな意味で日常の延長線上を感じさせる普通さがいいのです。ベレー帽をかぶる大塚洋も同じスタイルで親しみやすい。山内健司はちょっと頼りない中間管理職的なリーダが切なくて楽しい。敵の少年兵を演じた福士史麻はまた、あどけなさすら感じさせながらも、その彼女が人間を撃ってしまうということ。憎しみが、というよりは、戦争という構造が次の戦争を再生産してしまうということに絶望的な気持ちになります。
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