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2010.09.27

速報→「Re:TRANS」視点(MU+ミナモザ+鵺的)

2010.9.26 14:00

ポータビリティのある芝居を対バン形式で作る短編集。ミナモザ・鵺的・MUの三団体。 26日までルデコ4。休憩込み120分。 骨折してベッドに横たわる男。こっそり近づいた白衣の女はやおら馬乗りになり肋骨を折ろうとする。理由もわからず混乱する男だったが、理由もないと女はいい「スプリー」(ミナモザ/瀬戸山美咲)
男の部屋。部屋には訪れた男と、理不尽な罵倒と責めを受ける女。女は「部屋の主としたい」からここにいたい、というが、男はゲイで、訪れた男は毎週買っている男で「クィアK」(鵺的/高木登)
臨死体験をして生還してきた人々のインタビューをしてきた連載の最終回のインタビューはライターの同級生でイラストレーターとして有名な女性。同級生で面倒見のいい男も同席している。事故によって右手は不随となったその女の話はしかし、今一つ最終回を飾るにはインパクトが薄いとアシスタントは指摘するが。「無い光」(MU/ハセガワアユム)

鴻上尚史の名作、「トランス」のパーツをモチーフにとり、三人ないし四人芝居のコンパクトな上演形態とする三本立て。たとえば精神科の医者、たとえばままならないトランスセクシュアル、たとえば高校生の頃の屋上での話という、それぞれの断片。

(ミナモザ)は、アタシのみた回ではもっとも観客の笑いを多くとった印象。少々荒削りな印象を受けるものの、まっすぐと気狂いの紙一重、表情はひたすらまっすぐに、しかしあきらかに狂っている女を演じた木村キリコは、アタシの好みということもあるかもしれないけれど魅力的。

(鵺的)は、理不尽な責めが続く前半は着地点が見えず、「女」とひとくくりの粗っぽい台詞に少々不安になるものの、ホモセクシュアルと、そこからの苦悩が見えてくる後半にかけての圧巻。今里真のみせる苦悩と罵倒の落差に説得力、露出があるわけではないのだけれど、宮嶋美子が床に伏し、くねるような動きに強烈な色気があって、それは二人きりになった時のたった一瞬の逆転した立場に強烈な破壊力を持ちます。

(MU)は高校生の時の恋、という切り取り方。甘酸っぱさをベースに、自殺をスパイスに、という並べ方は、あまりにまっすぐで、インパクトという点では少々不利な感は否めません。できれば三人芝居という統一したスタイルであってほしい気もします。秋澤弥里の色気、金沢涼恵のまっすぐな想いを語る大量の台詞、杉木隆幸はもっと軽口を叩く役の多い印象だけれどまっすぐに説得力のある台詞の強みを再確認。

座席のアンケートと葉書大のカードで対応を取るしくみとか、開場・休憩・終演後にきちんとさまざま告知をする姿勢。あるいは、チラシからチケットにいたるまで統一したビジュアルで作るのは行き届いているなぁと思うのです。

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2010.09.26

速報→「ストロベリー」国分寺大人倶楽部

2010.9.25 19:30

国分寺大人倶楽部の新作。120分弱。27日まで王子小劇場。真ん中やや上手側をおすすめ。端だと柱がストレスになります←座った

夏の旅館、二部屋。いろんなイベントのあるサークル。女性は女性が、男性は男性が好きな人々だけれど、それを認めあった上での夏の海の旅館。嫉妬、いえない気持ち、忘れられない気持ち。

ひとつ、伝えられない気持ち、その一つの想いを様々に変奏していくスタイル。描いていることはずいぶん違うけれど、たとえばアタシは鴻上尚史が描いているのはたった一人の物語を手を替え品を替え真っ直ぐな物語だと思うのです。ここ数作の作家が描いているのも、アタシはちょっと似ている感じがしていて、その一途な気持ちと中学生のようなピュアとエロが同居する感じも心地いいのです。

ネタバレ

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速報→「大きな豚はあとから来る」渡辺源四郎商店工藤支店

2010.9.24 19:30

渡辺源四郎商店、工藤姓の作演・役者の女性3人のユニット、二回目公演は、女性の立場を変え主演の女優を入れ替えたYukako/Shizukaの2バージョンを交えて上演。アタシがみたのはShizuka版。80分。26日までアトリエグリーンパーク、来年1月2日-3日までアゴラ劇場でYukako版を上演予定。

キャバクラに訪れた男は、中東の小さな国の小さな島から人を捜しにきている。応対した女に再会した男は、実はもう一つのミッション、お妃を探しにきていて、彼女がその候補だという。

販売されている上演台本は、Yukako版の銀行員の設定を主にして、Shizuka版のキャバクラ嬢の設定の差し替え部分を後から補足するようになっていますが、それほど台詞自体に変化はないようです。魅力的なたった三人の役者。濃密な空気が楽しい。

静香版での主演、工藤静香(同姓同名の芸能人とは別人)は、キャバクラというには少々年齢がとか、露出が少なすぎないか、という意見もありましょうが(で、あたしはその実状を知らないけれど)、おもねるような、少しばかりものを知らないように見える、素直さが勝るキャラクタ作りが成功していて、主軸をきちんと。対する大林洋平はおそらく全く違う印象の二つの版を使い分けるちから。嘘くささと誠実さのぎりぎりのところ。

前回のA面/B面といい、今回といい、わりと自覚的に騙される女、ということを描いている印象の作家。前回公演は、青森という場所、さんふり横町という場所の力と物語ががっつり組み合っていて他ではそのままでは上演できない印象がありますが、今作は、地方都市ならどこでも上演できるような作りになっていて、30をすぎた女性の芝居としてポータブルなのはホンの強みだなとおもうのです。

ネタバレかも

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2010.09.22

速報→「心の余白にわずかな涙を」elePHANTMoon

2010.9.20 17:30

elePHANTMoonが、上演中止となってしまった過去作品のリベンジ。刺激的なビジュアルの写真も印象的。20日まで王子小劇場。105分。 離島の教会。牧師を誘惑した女はこの島から出ていきたいと考えている。信者の数は増えないまま、近くでは人面魚のような魚が話題になっていて観光客が増えている。子供のできない夫婦、妻よりも、不安定な妹のことを優先してしまう男たち。事故を起こして彼女に大けがを負わせた男は毎日船で本土まで通っていて。

ふたなりな女、その女に触れこそすれそこから先に進めなかった男。じり貧の信者たち、もちろん経済的に上向いていくという町ではなくて、どうみてもここに居続けることにメリットはないのだけれど、そこから一歩を踏み出せない気持ち。その女が弟に抱かれている声を一人聞くラスト近くのシーンが物語の主軸なんだろうと思うのです。その踏み出せない気持ち、そこから先に進めない臆病さのようなものは響きます。

不安定な妹たちの話、韓国料理屋の夫婦の話など、いくつか魅力的で小さな物語があるのだけれど、正直にいえば、それが主軸の物語につながっている感じがしないのは惜しい感じがします。

不安定な妹を演じた菊池佳南は、エキセントリックな役ゆえに得しているとは思うものの、表情のひとつひとつが魅力的なショーケースのようで役者を楽しむ感じ。野田裕貴の終始抑えた演技はもしかしたら初めて観たかも知れません。抑圧された感じがよく出ていて印象に残ります。

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2010.09.21

速報→「砂と兵隊」青年団

2010.9.20 14:00

5年ぶり、青年団にはちょっと珍しいタイプの不条理っぽさを漂わせる一本。6日までアゴラ劇場。フランス語上演もあります。110分。

どこかの砂漠の中を行軍する兵士たち。同じ砂漠には、居なくなった妻を捜してたどり着いた夫や娘たち、新婚旅行のオプショナルツアーの夫婦、派兵されている夫を訪ねているワンピースに日傘の妻などがいて。

ゲリラのような少人数の敵は居ても、民間人が普通にいてしまうような武力衝突のみられない地域だというのに、おそらくは意味がない匍匐前進。なるほど自衛隊派兵のさなかにかかれただけあって、そのあたりはぴりっと。 何のためにどこに向かっているのかわからないまま行軍を続ける兵士たちには悲壮感はなくて、しかしたとえ民間人、しかも日本人が殺されたとしても変わらず行軍のみを続けます。ゴドーを待っていた二人はその場所から離れられない物語だけれど、これは砂漠というどこまで行っても変わらない風景の中で、前進だけを続けるという別のスタイルのゴドー待ち。

石橋亜希子が開幕直後に見せる、水を口に含むときの脱力した表情が絶品。いろんな意味で日常の延長線上を感じさせる普通さがいいのです。ベレー帽をかぶる大塚洋も同じスタイルで親しみやすい。山内健司はちょっと頼りない中間管理職的なリーダが切なくて楽しい。敵の少年兵を演じた福士史麻はまた、あどけなさすら感じさせながらも、その彼女が人間を撃ってしまうということ。憎しみが、というよりは、戦争という構造が次の戦争を再生産してしまうということに絶望的な気持ちになります。

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2010.09.20

速報→「表に出ろいっ!」NODA MAP番外

2010.9.19 19:00

中村勘三郎と野田秀樹という両巨頭に若い女優一人を加えた強烈なテンションの75分。28日まで東京芸術劇場小ホール1。

夫婦、娘。お互いに外出したい理由。ジャパニーズ(小さい(すぎる)男の子たちのアイドルグループ)、東京ディスティニーランド(テーマパーク)、クドクナルド(略してクック、ファーストフード)。それぞれ、外出を防ごうと互いを妨害するうちに。

「信じること」にまつわる物語。何かを偏愛すること。それは時にアイドル、時にテーマパーク、時に食事だったりコレクションだったり。信仰、というには大げさだけれど、それがなくちゃ生きていけない、ぐらいの拘泥。すでに東京から遠くに引っ越しているのに、毎週のように芝居に通うために上京したり、ほかにしなきゃいけないことはあるのに芝居を観ることを優先したりと、こだわりといえば聞こえはいいけど、端から見ると理解出来なかったり、あるいは嘲笑されたりされかねないアタシのやっていることだって、そう大きくは変わりません。ああ、アタシのことを云ってるのかと思うのは自意識過剰にすぎるけれど、ことの大小あれど、だれもが身に覚えのある何か。

硬軟とりまぜてきっちりできる二人の巨頭が出ていれば、満足感は間違いなく高いのです。小劇場の役者の瑞々しさこそ、と思っているアタシですら、これだけのちからで、しかも短い時間をこの密度で見せられれば胸焼けしそうなぐらいに満腹感という役者のポテンシャル。くだらないことから凄み、隅々まできっちり埋めていくのです。

ネタバレ

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速報→「エゴ・サーチ」虚構の劇団

2010.9.19 14:00

虚構の劇団の新作。120分。19日まで紀ノ国屋ホール。

小説家志望の男。離島に旅行に出かける女性の話を書こうとしているが、どうにも筆が進まない。ある日、編集者と話すうち、自分と同姓同名生まれも育ちもほとんど同じ男がネット上にblogを持っていることを知る。

自分の名前をネットで検索する「エゴ・サーチ」をタイトルに。ネット上のもう一人の自分の姿。ミステリーの雰囲気を漂わせながら、そのもう一人の正体を捜し求めるうちに現れる物語。

失恋にしても、失った誰かのことにしても、しつこいほどに想い続ける人の話を描くこの作家、彼の言葉を定期的に浴びたくなるアタシです。ネットにかかわるさまざま、いわゆる「流行りもの」になりがちなネットの話題は、twitter、mixi、2ch、USTREAMなど固有名詞こそ時代に流されていってしまうけれど、ネットの上に私たちがどのように存在して、対峙すべきなのかというようなことを真剣に、しかも実直に繰り返しさまざまに描いているがゆえに、その言葉を、彼の感じることを受け止めたくなるのです。

正直に言えば、沖縄という場所の扱い方がアタシには少々粗っぽく感じられて、決して若くはない作家の描くものとしては少々無邪気に過ぎるのではないか、という気がしないでもありません。ゆるやかに流れ、いやされる場所という劇中の小説で語られてる場所としての機能は理解できるものの、キムジナーなる妖精がなぜその女に惹かれたのかを説明するあたりに違和感があります。

屋上に集まる人々だったり、そこに三角関係のようなものがある、というのはどこか「トランス」の雰囲気をまといますが、屋上に居たフォークデュオ(とファンの女の三人)にあっさり空気をひっくり返されてしまうのが、ちょっと不思議。

ネット上に存在すること、そこでひっかかる検索の結果こそが「世間」なのだという感じ。中盤で語られる、いかに「ネットで支持されているか」を作り出していく過程は、個々の話題としてはもちろん知っていても、それをこういう形でコンパクトに見せられると、ああなるほどつく出されていく世間、ということなのだなということが実に腑に落ちます。

ネットはエッジな人々が逃げ込む場所だったはずなのに、そこにさまざまなビジネスや思惑が流入してきて、作家の書くネットの世界の様相が少し変わってきているという印象があります。それを声高に批判したりあきらめたりするのではなくて、そこにどう向き合っていけばいいのか、ということを単に批判でも評論でもなく、自分の生きる時代のこととして、ぶつかりながらも描き出していこうという作家の言葉をさらに聞きたいな、と思うのです。

若い役者たちとつくるこの劇団も役者たちが育ってきていて、観客を巻き込んでいる感じがします。千秋楽は決して若くない客席なのに、繰り返しのカーテンコール。フォークデュオのCDをお遊び的に作ったり、終演後に役者がロビーに出てきて気さくに観客と話していたりというのは若い劇団では珍しくはないのだけれど、客席の平均年齢は決して低くはないこの公演ではちょっと新鮮な感じがします。

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速報→「エロスの解剖」micro ZOKKY

2010.9.18 21:20

5分。王子小劇場裏。新形態を提唱する「のぞかれ演劇」と銘打つmicroZOKKYは当日のみの販売。

研究所の一角で発見されたのは、光に反応し、まばたきのような動きをする不思議な生物で。

ZOKKYに隣接された一室、横になって自分でもった「覗かれ穴」の中を役者達がかわるがわる覗いてくる、というmicroになったZOKKY。新形態らしく、物語というよりは見せ方や客の扱い方というか上演形態にまだ不安な感じが残ります。たとえば女性だったら、真っ暗ふたりきりのスタートでどう思うだろう、とかスカートだったらどうだろう、とか。そういう目で見ると、たとえばマッサージ屋で膝に載せるタオルケットを置いてあるというのを考えた人は大したものなんだなぁと思ったり。

もちろん、ZOKKYだって今の完成度になるまでに試行錯誤があったわけで、上演形態は改良されていくのだと思います。このスタイルで見せられる物語が広げられるかどうかがポイントかなと思います。

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速報→「来い!如意棒達」ZOKKY(性年団リンク・竿☆組)

2010.9.18 21:15

ある朝、「竿」の存在に気づいた女性。何日たってもそれは治まることはなくて、一念発起して、マグロ漁船に乗り込むことにする。

「竿」というAVっぽいワンアイディアでスタートしながら、それをさまざま「いじってしまう」小さな男の子の成長の一過程に着地。おおっぴらには語りづらいし、子供に見せるわけにもいかないけれど、エロをまとっているのに、ほっこりすらしてしまう優しい物語。

ライティングもあって、まさか石井舞だとは思えないぐらいにホラー風味でスタートだけれど、着地の無邪気な子供の表情は今までにない感じで印象的。 しかしこのアップで肌がキレイに見えてしまう和知龍範という役者はちょっと凄いなと思ったり。

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速報→「組曲『妄想』」ZOKKY(妄想組曲)

2010.9.19 21:10

小学生限定の悩み相談のカウンセラーは妙齢の女性。ある日訪れたダンディな男は6歳の小学生だといい。

見た目だけならばドレッシーな男女の会話(ああ、こういうことの語彙が本当に少ないアタシだ)。ただ、見た目に反して男が子供だというワンアイディア一点突破。男はいくつになっても子供だ、というまあよく云われることをそのまま舞台に載せていて楽しめます。 その落差を体現するキャスティングが勝負。役者としての葛木はかなり久し振りだけれど、これだけの至近で視線を浴びる至福。

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速報→「揉む痛み」ZOKKY(ニュウリンバズウカ)

2010.9.18 21:05

おそらくは新作を固めたCブロック。こうなると今回みられなかったBブロックがますます気になる。各5分。王子小劇場裏。

年輪に関する研究を行っている研究者。研究対象としたいということは、その植物のことが本当に好きでたまらないのだけれど、それは越えられない種族の壁で。

相手のことが好きでたまらないけれど、現実には越えられない壁を乗り越えるのはたぶん唯一「妄想」だけなのだ、という視点が実は優しく、深いのです。

可愛らしさの勝る印象だった川村紗也(の演じる植物)がいちいち色っぽい。ああ、女優って変わるなぁという思いつつ、多数のアングルや構図を多用していて強い印象を残します。大塚秀記はかの名作「SM社長」以来の感じ。決してかっこよくないし、これを可愛らしいというアタシに同感してくれる女性がどれだけいるかわからないけれど。

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速報→「みんなのへや」「無縁バター」Aga-risk Entertainment

2010.9.18 14:30

アタシは初見の劇団です。110分、19日までルデコ4。

同棲中の男女。彼女の帰りが遅いと確かめた男は、浮気相手のカレシを迎えに出かけた。が、その隙に彼女もバイト先の男を部屋に招き入れる。それを知ったのは、部屋の男のストーカーの女と、部屋に入ったコソ泥で。「みんなのへや」
猛暑の中、死後4日にして液状に溶けてしまった男の部屋を片づけに訪れた不動産業者と清掃業者。身よりもなく孤独死とおもわれ、部屋にあるものも、男の一人暮らし、あるいは孤独を示すようなものばかりだったが、そこには拾ってきた「それ」の話が買いてあって「無縁バター」

あたしは初見です。当日パンフによれば、シチュエーションコメディが得意なのだけれど、もっとシンプルな上演の試み。床に書いた間取りの小さな部屋を舞台を共通にして、雰囲気の違う短編二作品という仕立て。

「みんなの〜」は恋だの浮気だの、入ったり隠れたり出たりと追い込んでいくタイプの王道なシチュエーションコメディ風味。無茶ぶりの積み重ね、どう考えてもそういう行動にはならんだろうという何カ所を勢いで乗り越える感じ。 スタンダードな仕上がり。勢いがついてからの後半は乗せていけばいいのだろうから実はそこまでが大変なのだろうと思います。

「無縁〜」はおそらくはタイトルの語感のおもしろさ先行かという気がするけど秀逸なタイトル。怪奇小説っぽい発端をうまくまとめた感じがするものの、結局はシチュエーションコメディっぽさが勝っていて、社会派みたいな感じに見せているのはあまり得策ではない気がします。もっとも、親類縁者がいないわけではないけれど、独りだなと感じること、AVのあれこれやら、アタシにとっても他人事ではない切実さを感じたりもする、と言う点では社会派といえるのかもしれません。すとんと落とす終幕は唐突に見えるけれど「溶けてしまった死体」とい序盤につながっていて巧い。

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2010.09.18

さて、遅めの夏休み。

海外からのお客様、初めて長野で迎えた一週間。まああれこれありながらも無事に終了(予定)。ここからがアタシの夏休み。三連休、人間ドック、ちょっとだけ働いて、来週末は日本海側を走る寝台特急で青森へ旅行を画策。実は休日がちょっと少なめなのだけど、余らせるぐらいなら自分の有休を突っ込む所存です。でも、まだ何もチケット買ってません。

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2010.09.13

速報→「よわいもんいじめ」コマツ企画

2010.9.12 14:00

コマツ企画、二ヶ月連続公演の一つ。全席自由ですが、舞台の下前方左右(洋服がかけてある)エリアでの芝居もあるので、前方をおすすめ。アタシは上手側通路横から。120分。20日まで三鷹市芸術文化センタ・星のホール。

両親たちの抗議行動にもかかわらず、家出した少女たちは続々と労働者あがりの男のところで聖書を読みながら共同生活をしている。町中を追われ、避難した先。男たちが稼いでくる金が乏しくなったのを知った女たちは、夜の町で働くことを決める。

実際の事件に着想をとり、やさしくてヤバい女たちを呼んでしまう男と、夜の町で働く女たちのワケアリな背景をきっちり書き込んだ一本。当日パンフでは作家自身が過去に出会った水商売の女たちに着想を得たことを書いています。それが本当のことなのかどうかは、アタシには知る由もありませんが、なるほどリアルと感じられる仕上がり。

柿丸美智恵が圧巻。教祖の妻、水商売のママ、子供の母親という主要な役を重ねながらきっちり。特に水商売のママが未成年の女の子たちの疑問「ホステスと客とは寝るものなのか」に端を発する語りのシーンの厚み。本当にヤってしまうかどうかは別にしても、そうしたいと思わせることが商売の根幹なのだという語りはものすごく納得させさられてしまうような説得力なのだけど、この役者ゆえ。玉置玲央は優しいヒモと、まじめな男の二役をきちんと。久しぶりに拝見した近藤美月は狂気の凄さは変わらず、正気にきちんと存在感。コミカルなところがないのは残念だけどそれは芝居の特性なのです。

スカスカになりがちなこの劇場をきちんと埋めているのは美術の力も。あるいは舞台の前にこじんまり作ったアクティングエリアも巧く機能していると思いますが、すべての席から同じように見えるかは微妙な気がします。

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2010.09.12

速報→「5 minutes maid」ZOKKY(Mrs.fucktions)

2010.9.11 20:40

アタシが先行予約で一本だけ選んだのは、迷ったあげくのこれ。

三人のメイドを囲う男。彼女たちが好きなのは僕なのか、お金なのか。

再演でタイトル変更。 バブル崩壊からこっち側の、勝ち組男の天国と地獄。今、勝ってるけれど、このまま大丈夫かしらと頭の片隅から離れない、ごくまっとうな神経と札束をばらまくような派手さのコントラストが魅力の一本。題材としてはちょっと古くなってる感じは否めませんが、大した問題ではありません。

清水那保のメイド姿はなぜか見慣れてる感じがするのに、原田優理子のそれは見慣れなくてちょっと不思議な魅力。高い身長もっと強調した感じでも見たかったなと思いつつも、そうしたらもしかして構図から外れてしまうんじゃないかという要らぬ心配をしたりも。

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速報→「極めて美しいお尻」ZOKKY(箱箱円舞曲)

2010.9.11 21:35

ネット予約で気合を入れて、なんとか連続で見られる予約に。二本目ももちろん楽しい。 王子小劇場裏。

アタシ、一番自慢できるのはお尻なんです。痴漢にあってしまうこともあるけれど、アタシの自慢できるここを好きといってくれる人がいなくて。

これも一点突破がすばらしいのです。高羽彩の口元の色っぽさ、二階堂瞳子がバナナでは見せない「普通の」芝居の力、そしてアップの肌の凄さ、目ぢから。小野哲史の変態な目線。この穴からのぞく構図。奥行きを感じさせたり、この一つの目で複数のカメラで撮ったような構図が多用されていて、ちょっといままでと違う感じがします。視線を完全に固定できるために、舞台より映像に近い精度の高い構図づくりが出来るのも、ZOKKYの利点なのです。

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速報→「ワイルドオタッキー」ZOKKY(ヌキバカ)

2010.9.11 21:30

ZOKKYが仕掛けるフェイクな劇団名の演劇祭。アタシがみられるのは週末分だけなので、6本+1本が限界。最初のブロックの3本のうち一本。第一ブロックは12日まで。前売り完売、当日券なし。気合の入った当日パンフ(白黒コピーだけど)も読んで楽しい。

エロい妄想が膨らんでしまうレジ係の女。家電AVの売場に配属が変えられて。

中学生男子のようなアダルトビデオとオーディオビジュアルの二つの言葉が結びついた一点突破。妄想が暴走するレジ係を演じた真下かおるのうっとりするような呆けた視線も、この狭い空間での表現故に堪能。オタクな男子ががやがやと入ってきて、店員よりも詳しい知識をまき散らすあたりもよくある光景をきちんと描写するあたりが、ちょっと凄い。

                                     

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速報→「ミッドサマーナイツドリーム・イン・インターネット」エビビモpro.

2010.9.11 19:30

小劇場の規模とテイストでミュージカルを成立させる110分。12日まで王子小劇場。

現実世界から身投げして落ちるかりそめの電子空間、インターネット。ティンカーベル、パックなど妖精たちも厳しい現実の世界から追われてここに居る。ここに流れ着いた女は、「真実の愛」を探したいのだという。

ミュージカルの基本フォーマットたる愛と勇気をあからさまにいうのは恥ずかしくなってしまうこの時代、全力でファンタジーを語ります。加えて、小劇場らしい引きこもりや子供の虐待を、チェンジリングという欧州の伝承の物語に絡めて物語を作り上げます。どこでもない不思議の国をネットに求めるというのはそう珍しい感じではないけれど、全力でファンタジーを語られるうち、不思議と引き込まれてしまうのです。

中心となるミオを演じた角島美緒はこの座組の中で圧倒的で、ともかく目が離せません。物語の緩さも含めてすべて飲み込んでなお、最初から最後まできちんと立てる女優はそうは居ません。歌声もたたずまいも、身体の表現のちからも、この舞台を背負うちからがあります。ランプの精を演じた宮本翔太も少々ずるいぐらいにキャラクターに乗っかりますが、それにしても出てくるだけで客席をかっさらうような魅力があります。

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速報→「忘却曲線」青☆組

2010.9.11 15:00

港町の家庭を舞台にした物語。作家がここまで女性押しでくるのはちょっと珍しいのです。12日まで春風舎。95分。

三人の姉妹と一人の弟。詩人だったという父親が亡くなり、歌手だったという母親はこどもたちに日記をつけさせるようにする。その母も姿を消して長い年月。港にほど近いその家には長女の夫婦が住み、三女と弟が同居している。東京のデパートで店員をしている次女が久しぶりにこの家に戻ってきた夏の日々。

母がいなくなったあともしっかりとこの家を支えてきた長女、どこかオクテで土産物屋の店員という少々地味な感じの三女、喋ることが苦手で倉庫で働いている長男。戻ってきた次女は美しくて色っぽくモテる感じ。兄弟姉妹、同じDNAとはいっても、年齢を重ねて、それぞれにやはり違いはでていて。なるほど16歳の女優が(無理な化粧と大胆に胸元を見せながら)母親を演じるというのは、そこから三人の姉妹のあらゆるパターンのどれにでもなりうる、というアタシの友人の指摘はとてもうまくできているなぁと思うのです。なるほど、当日パンフでいう「子供のままの作家の自分」が書いたのは、30を過ぎたであろう作家自身の中にいまでも存在するさまざま、つまりオクテのままだったり、色香を振りまいていたり、母親のようにしっかりとしていたりと、いうことかなと思ったり思わなかったり。

いままでは女房とか、そういう視点の男女を描くことが多かった作家、変わらず女性視点ではあるのだけれど、いままでになく色っぽさというか、ねっとりとした印象があります。

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2010.09.11

秋になりました。

関東ではもの凄い豪雨があった今週、信州ではそうでもなくて。そのわりに自転車で帰ったらきっちり雨にあったりして。天候のことをこんなに気にしてしまうのは、自転車ツーキンゆえなのだけど、そういうさまざまも楽しかったり。クルマのこと考えるのはもう少し先にしても。

涼しくなったのだけれど、自転車には実は足首より上までのカーゴパンツが使いやすい。東京はきっとあついだろうからと思ってサンダル・カーゴの恰好に着替えて高速バス、果たして丁度いい感じ。

週末は暑い、という助言も頂きつつ。

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2010.09.07

速報→「渡り鳥の信号待ち」世田谷シルク

2010.9.5 18:00

世田谷シルクの新作は、宮沢賢治「銀河鉄道の夜」に着想を受けながら、女性の視点をしっかりと埋め込んだ105分。7日までサンモールスタジオ。

星祭りの日、部屋にこもって明かりを作る芸術家の父親を持つ娘。机の上に置く小さな明かりのほかに、盆祭りの期間、鍾乳洞をライトアップする明かりも作っている。母親はここには居ないが、どこかで生きていると信じている。過去に何かがあったのか、この家族は今一つ町になじんでいない。牛乳を買いにいくついでに、祭りをみてこようと家を出る。
最寄りのコンビニに牛乳がなく、列車に乗る。若いカップル、職場の旅行らしい女性三人、その娘を遠くで見つめる若者三人が乗り合わせ、時間の中を加速減速しながら列車は進む。

銀河鉄道の夜を下敷きにした芝居はたくさんあるけれど、そのままでもなく、単に現代に翻案したのでもなく、子供と母親、生と死を強く意識させる物語を骨組みにしながら、じつにスタイリッシュな音楽とダンス、文字を主体とした映像のインスタレーションのようなテイストの高い完成度に仕上がっているのです。

かかしとしおりの二人、大学生と老人を行き来するカップル、職場旅行の女性三人、大学サークルの若者たち、という4組の会話。鍾乳洞と列車にまつわり別々に進んでいく物語が後半にはいり、するするとつながります。

物語を主軸に据えながら、ダンス、音楽、映像がきちんと統合されているとおもうのです。ダンスでいわゆる「芸術」ということに、どうしても興味の持てないアタシですが、これは結構好き、なのです。 音楽もリズムもダンスも「文字」の映像も、ちゃんと台詞も物語も、というインスタレーションのような素材でつくられたもので、物語と文字に頼りがちなアタシがのめり込めるような芝居はそうはありません。そういう意味で、アタシにとって、けっこう貴重な団体。

ジャズを基調としたような、緩やかでポップな音楽がそこかしこ、ダンスもことさらに芸術っぽくせず、長すぎもせず、キレもあるのが楽しい。たとえば【山の手事情社】や【維新派】のように劇団として訓練を続けたところの完成度とはたぶん違うのだけれど、オーディションで集めた小劇場の役者をこの完成度でダンスとして成立させていると思うのです。 短期間の間にどんどん進歩したものを作ってしまうどん欲さを持つ作演は、小劇場だからこそ必要なことを続けていると思うのです。

渡り鳥、をお盆の季節に戻ってくる人々、と。なるほど、銀河を渡ってくるような様子が見えて、この狭い劇場の広がりを感じさせるのがうれしい。

子供を演じるえみりーゆうな、尾倉ケントが主軸をきっちりと。大人の気持ちの芽生え、子供らしさをあわせもつこの時期固有の感覚。帯金ゆかりも一つのシーンで子供を演じていて、実はありそうであんまりないのだけれど、ちょっとこのシーンは好き。 職場旅行の三人は物語の骨格。演じた佐々木なふみは母親としての優しい視線と同時に会えない子供を持つ母親、という陰の部分に厚み。

ネタバレ

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2010.09.06

速報→「清水那保一人芝居 ~曇天少年/共震少女~」Thousand Leaf

2010.9.5 14:00

女優自身が書いた脚本を一人芝居として上演し、深寅芥が演出するシリーズの三回目として清水那保を。5日までスタジオアキラ(中野坂上)で75分。各回限定3席という特別席は舞台上にしつらえられていて。お祭りには乗りたいクチのアタシはついつい。

娘が子供のころ母親にせがんで話して貰ったおはなしは、顔を水につけられない娘のためにそれを応援してくれるような「曇天王子」の話だった。それをきっかけにインターハイに出場を控えた水泳選手にまで成長する。締め切りの卒業アルバムの写真を選んでいた彼女は、自分の母親の高校生の頃の写真を見つけて。

母親と娘の物語。小学生の頃と高校生の今。水とか水泳というものにまつわる物語は時間を行きつ戻りつ。水に戻りたい、息をしない、なんて少々物騒なしかし観念的な台詞を挟みながらも、舌足らずに話す小学生も、生意気なクチを効く高校生も、物腰柔らかな母親も自在に行き来するちから。

娘の物語かと思わせて置いて、母親の写真からくるりと母親の物語に。曇天の正体、若かりし頃の母親の少々の無鉄砲なんてものがコンパクトに語られる中盤から終盤にかけての物語の運びは結構すきだったりします。

その流れにありながらも、終幕は少々の無理矢理感もあります。どうしてもハッピーエンドにはできない、というのは彼女の何かがそうさせてしまうのか、なんてことをつらつら考えて観るのもまたよし。あるいはその深みのある母親や父親、あるいは祖父母たちの物語を字幕で語ってしまうのは一人芝居ゆえの制約ということかもしれませんが、少々もったいない感じ。

特別席は、写真つきで舞台上の席。中盤、少年との会話を閉めた幕の中で、というシーンがあります。特別席はその中に居られるというのは特典で、値段なりの差異化を図ろうとた苦心が観られますが、ことさらに隠すようなシーンでもないところはあって、これは必ずしも成功している感じがしません。

とはいえ、女優自身に初戯曲を書かせ演じさせる一人芝居、というフォーマットのおもしろさはあります。女優そのものを見に行くというところも確かに芝居を観る一側面なのですが、AKBなんとかのようなあからさまにならないぎりぎりのところをねらうのが大変だろう、という気はするのですが。

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2010.09.05

速報→「Sea on a Spoon」こゆび侍

2010.9.4 19:30

こゆび侍の新作、なめくじをモチーフにしつつがっつり社会派のテイスト。115分。5日まで王子小劇場。

「すくいびと」になりたかった少女は、村人を連れて海へ。村人は一瞬で消えてしまった。そう証言して一人生き残った少女は、20年後、町役場で静かに、まじめに働いている。ここには原発があって、そこに暮らしている人は徐々に減っていて。エコフェス、と名付けたイベントで大量の観客を呼ぼうと沸き立つ町の中で、静かに計画が進行していた。

冒頭に語られる一瞬で消え去る人々の話、そこに一人残ったという少女のオカルトめいた、あるいはカルトめいた不思議な立場を長い時間軸での大枠に据えます。 そこに、現在のこととして、地元の人々がどうにかしたいと思っているもの。今作では原発と地域の問題をあてはめ、物語の骨格を作り出します。

正直にいえば、これをそれこそ原発のある現場で上演できるのか、みたいな意味でモチーフにすることによるリスクも観客の感じ取り方の差に対しても覚悟が足りてない気がしないでもありません。物語の後味はどんよりと残ります。アタシが好きな種類の芝居ではないのだけれど、それでも芝居を観て物語を浴びる感覚、着地点が何処に行くのだろうという物語に身を委ねていく感じが存分に味わえるという意味で、芝居を観ることを本当に楽しめる一本なのです。

たとえば在留米軍みたいなものもあるけれど、このリスクの高い題材をあえて使ってでも使ってでも語りたいのは、「一瞬で消える」ということなんだろうと思うのです。少女が一人残ったということの実際の事件がどうだったかは、殺したのだろう、という感じにはなっているものの、明確には語られません。終盤もあわせたこの一点をファンタジーとして突破するには全体にリアルにきっちり作り込まれて

原発職員の一人を演じた飯田一期は、どっしりとした存在感と説得力のある声が魅力。垣間見せる悪戯っぽい表情や女性に骨抜きにされるあたりの表情の豊かさは人間を感じさせて印象に残ります。 役場の職員を演じた佐伯佳奈杷はダークさと男を骨抜きにしてしまうような危ない魅力にきちんと説得力。そりゃこうなるよなぁ、とオヤジ心一杯なアタシ。 堀奈津美はクールビューティな魅力を存分に。佐藤みゆきは全体には抑えた地味に見せる役柄ながらも存在をしっかりと。 ネタバレ

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速報→「東京アメリカ」範宙遊泳

2010.9.4 14:00

アタシは初見です。100分。7日までSTスポット。

劇団の稽古場らしい場所。昭和の香り漂う小学生の女の子と愛すべき家族たちのアニメによく似た物語の稽古。お姉ちゃんの彼氏は「木星人」を名乗るが、やがて地球は海王星人の侵略を受けて、なんて物語で。

確固たる理論も裏付けもないままイキオイで芝居をしている、というのは「朝日のような夕日をつれて」で語られる「小劇場病」の有名な台詞ですが、なんかそんな言葉を思い出す、あからさまな「小劇場っぽい稽古場」のようす。

劇団ってものを維持していく中、こだわりどころも実力もバラバラの役者たち。演出は演出で突然ミュージカル風を指示したり、テンション芝居だったりといきあたりばったり。キャリアはあるのに微妙な芝居をする客演らしい役者や、あきらかに役者によって態度のかわる演出、恋愛模様も慕う気持ちも見え隠れたりあからさまになったりと、重苦しい空気に支配されることもある稽古場、なんて空気がリアルなのか、アタシは知らないけれど、まあありそうな感じではあります。

浅川千絵は無茶ぶりな演出に食らいつくという役、ちょっと舌足らずに聞こえる台詞も小学生という劇中の役にはあっています。佐賀モトキは終盤で今居る場所のリアルに首をひねる重要な連結点、不思議な疎外感をきちんと感じさせます。竹中香子はおもねるような感じがまあ女性には不評そうな感じもしますが、登場の首輪含めてちょっともっていかれた感じ。福原冠は神経質でしかも少々先輩風、というのがリアルかどうかは知る由もありませんが、雰囲気は良くでています。

ネタバレかも

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2010.09.04

夏の終わり

さすがに信州、涼しくなってきました。会社の夏イベントの打ち上げがあったり、アタシの買った青春18きっぷを使い切る算段をしたり、秋の旅行を考えたり、秋の味覚を楽しみにしたり。

で、明るい時間に中央線各駅停車の旅で上京しながらの週末。

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