速報→「Re:TRANS」視点(MU+ミナモザ+鵺的)
2010.9.26 14:00
ポータビリティのある芝居を対バン形式で作る短編集。ミナモザ・鵺的・MUの三団体。
26日までルデコ4。休憩込み120分。
骨折してベッドに横たわる男。こっそり近づいた白衣の女はやおら馬乗りになり肋骨を折ろうとする。理由もわからず混乱する男だったが、理由もないと女はいい「スプリー」(ミナモザ/瀬戸山美咲)
男の部屋。部屋には訪れた男と、理不尽な罵倒と責めを受ける女。女は「部屋の主としたい」からここにいたい、というが、男はゲイで、訪れた男は毎週買っている男で「クィアK」(鵺的/高木登)
臨死体験をして生還してきた人々のインタビューをしてきた連載の最終回のインタビューはライターの同級生でイラストレーターとして有名な女性。同級生で面倒見のいい男も同席している。事故によって右手は不随となったその女の話はしかし、今一つ最終回を飾るにはインパクトが薄いとアシスタントは指摘するが。「無い光」(MU/ハセガワアユム)
鴻上尚史の名作、「トランス」のパーツをモチーフにとり、三人ないし四人芝居のコンパクトな上演形態とする三本立て。たとえば精神科の医者、たとえばままならないトランスセクシュアル、たとえば高校生の頃の屋上での話という、それぞれの断片。
(ミナモザ)は、アタシのみた回ではもっとも観客の笑いを多くとった印象。少々荒削りな印象を受けるものの、まっすぐと気狂いの紙一重、表情はひたすらまっすぐに、しかしあきらかに狂っている女を演じた木村キリコは、アタシの好みということもあるかもしれないけれど魅力的。
(鵺的)は、理不尽な責めが続く前半は着地点が見えず、「女」とひとくくりの粗っぽい台詞に少々不安になるものの、ホモセクシュアルと、そこからの苦悩が見えてくる後半にかけての圧巻。今里真のみせる苦悩と罵倒の落差に説得力、露出があるわけではないのだけれど、宮嶋美子が床に伏し、くねるような動きに強烈な色気があって、それは二人きりになった時のたった一瞬の逆転した立場に強烈な破壊力を持ちます。
(MU)は高校生の時の恋、という切り取り方。甘酸っぱさをベースに、自殺をスパイスに、という並べ方は、あまりにまっすぐで、インパクトという点では少々不利な感は否めません。できれば三人芝居という統一したスタイルであってほしい気もします。秋澤弥里の色気、金沢涼恵のまっすぐな想いを語る大量の台詞、杉木隆幸はもっと軽口を叩く役の多い印象だけれどまっすぐに説得力のある台詞の強みを再確認。
座席のアンケートと葉書大のカードで対応を取るしくみとか、開場・休憩・終演後にきちんとさまざま告知をする姿勢。あるいは、チラシからチケットにいたるまで統一したビジュアルで作るのは行き届いているなぁと思うのです。
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