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2010.08.09

速報→「パーティーが始まる」TOKYO PLAYERS COLLETION

2010.8.8 18:30

劇団競泳水着の上野友之の立ち上げた新ユニット、トープレの旗揚げ公演。80分。8日まで王子小劇場。劇場の演劇祭、「佐藤佐吉演劇祭のオープニング企画。

二十歳の学生の男。まわりは就職活動を始めていたりする。本人はといえば前の彼女に振られてから一年になろうとしていて、悶々とする日々。何か物語のようなものを書きたいと思っているが、サークルに入ったりそのための勉強をしているわけではないし、そもそも、自分はなにを書きたいんだろう。

まだ何者にもなっていない二十歳の頃。無限に広がる未来があったのだ、ということに気づくのはそこを通り過ぎた後の話。当人にとってみれば、やりたいこととできること、道筋をどうやってつければいいのかの模索の日々なのです。そんな時代、作家自身を匂わせる少し内気で女の子が好きだけど話しかけられない青年が主人公となり物語は進みます。作家には衝動がなければならないのに自分にはないと悩み、書き方がわからないと悩み。教室でみかけた可愛らしい女の子への想い、電車でよく見かけるエロいお姉さんへの妄想。しかしそれはなかなか形にはならないのです。「ものがたりを作りたい」ということこそが彼の衝動なのだということは芝居では語られるけれどそれはあの当時の彼自身にはわからなくて。

物語ることの原風景、青年、少女、友人、母親のほかに物語の中の登場人物たち、それに加えて「観客」というポジションがあって始めて作品として成立するのだという作家の視点はしっかりしています。書くこと自体はマスターベーションになりかねないけれど、そこに観客という存在があることで作品となり、表現となるのだということは当たり前のことなのだけれど、こういう芝居で描かれることはほとんどない気がします。それをきちんと描く作家へのあたしの信頼感はさらに深まるのです。

青年を表の姿と裏の声で演じた二人の女優、渡邉とかげと前園あかりはその頼りなさのような線の細さを好演。女優が演じるクッションのおかげで生々しさが減じられて、より効果的に。コメディパートを引き受ける村上誠基はベタな感じだけど、きちと舞台のリズムを作ります。少女を演じた泊ヶ山まりな、エロイ美女を演じた清水久美子と女優の選球眼は相変わらず鋭く、あえて地味に描く富永瑞木もその地味さもまた捨てがたく、だめおやじなアタシなのです。

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