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2010.08.29

速報→「粋で鯔背で、すごい馬鹿」散歩道楽

2010.8.28 13:00

散歩道楽2010の三本連続上演の二本め。浪曲の常設劇場、浅草木馬亭。ぐんぐん伸びるスカイツリーと、サンバカーニバルに浮かれる土曜昼。95分。29日まで。

大衆演劇の一座。座長の父親を筆頭に妻、息子たちのほか、元カメラマン、元ストリッパー、元小劇場役者などのそとからの役者たちと半々の構成。本拠地の浅草での公演初日の直前、座長が倒れ病院にかつぎ込まれる。翌日の昼何事もなかったかのように劇場に現れた座長は、一座を集めて、引退を宣言する。

小劇場の芝居で劇団とか芝居を題材にとるというのはどうしても作家たちの近いところに題材を求めすぎるという点でうまくいくことは少なくなりがちです。彼らにとっては身近で切実な問題なのでしょうが、そういう芝居がかなり多いことと、普遍性とか客観性のようなものの距離感が難しくなるからです。本作も芝居で生きる人々の物語。が、大衆演劇に題材をとり、あるいはさまざまな実年齢の役者を揃えたことで作家や役者たちの生々しさからは少し距離を持たせたという効果が感じられます。菅間馬鈴薯堂の人気シリーズとおなじような印象。

カリスマともいえる求心力のある役者、舞台外の活動に活路を見いだす役者、いい年齢になっても役者を続けていくことの覚悟、のようなもの。作家の宣言ともとれる感じが少々青臭くても頼もしい。百貨店勤務のサラリーマンの弟を置いたことで、芝居の世界で生きているわけではない私たち観客にぐっと引き寄せる感じがうまい。芝居じみた大仰な土下座をさっとサラリーマンの弟の姿に重ねるあたりに至り、それまで違和感のあったコマがきゅっと繋がる感じで作家の企みの巧みさに舌を巻きます。

芝居好きなブロガーという役があって、あれれ思っていると後半でモンスターペアレントよろしく逆上する、なんてあたり、伝搬力とか注目を浴びることで個人の能力を晴香に越えた力をもってしまうこともあるのだけれど、そこにおごっちゃいけないのだよな、自分は大丈夫だろうかなんてことを自戒するのです。

今藤洋子の熱くて空回り気味の女、巻き込まれ型のつっこみに強い彼女が必ずしも得意な役ではないと思うけれど、しっかりと。小高仁の格好良さ、鉄炮塚雅よの面倒くさいキャラクタも印象に残ります。

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